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Ring Story

LOTUS ゆびわ言葉 ®: ありのままで

2019.07.01

「3、2、1…」

合図と共にカメラを回すと、彼女はゆっくりと語りはじめた。

『蝉が鳴き、太陽が照りつける、夏。
街には今日も、休みを迎えた子ども達のはしゃぐ声と、休みのない大人達を運ぶ電車の音が響いている。』

カメラには空だけが映っている。
画面内に彼女はおらず、その声だけが、ナレーションとして流れている。

『そんな街から、少し離れたこの場所には――喧噪も、暑ささえも忘れてしまうような、美しい景色が広がっていた。』

空に向けていたカメラを下げていく。
カメラにはやがて木々が映り、湖が映り…やがて、湖の上に咲く、美しい花々が映る。

『蓮の花…それは、聖なる花。夏の季語。
そして、私と母の、思い出の花。』

濃い桃色の花のアップと共に、彼女の凜とした声が響く。
透明感のある、それなのに、すぐ近くにいるような存在感のある彼女の声に、俺は惹かれた。
その声は、彼女そのもののようだった。

彼女…佳乃(かの)はナレーションを続ける。

『幼い頃、母は私に、蓮の花の写真を見せてくれました。
自分の好きな花だと言って見せてくれたその花は、とても綺麗でした。』

ここではじめて、湖の横に立っている佳乃を映す。
華奢で小さいけれど、存在感のある女性…これから映像に残すのは、そんな彼女の物語だった。


『小さな商店を営む私の家は、決して裕福ではなかったけれど、毎日笑顔に溢れていました。
理解ある両親は、なれるのは一握りだという、夢物語のような私の将来の夢も応援してくれました。
声優になるという夢です。』

佳乃は一気にそこまで話し、小さく息を吸う。

『しかし、結局どこのプロダクションにも所属できないまま、私は専門学校を卒業することになってしまいました。
アルバイトをしながら、オーディションを受ける日々。
夢を諦めきれず、アルバイト生活で食いつなぐ私への風当たりは強く、人間関係が原因で、何度か仕事を変えました。』

カメラに映る彼女の表情が陰る。
当時あった色々なことを、思い出しているようだった。

『生活がどんなに苦しくても、実家に帰ることはできませんでした。
諦めたくないと同時に、「応援してくれた両親を悲しませたくない、学費も工面してもらったのに、のこのこ帰れない」…そんな気持ちがあったからでした。』

声のトーン、そして言葉の端々から、これまでの苦労が伝わってくる。

『母が東京に住む私の元へ一人でやって来たのは、そんなある日のことでした。』

しかし、”母”という単語を発したときの彼女の表情は、とても穏やかだった。

『母は私をこの公園に連れてきて、蓮の花を見せてくれました。
そして、こう言ってくれたんです。
「私も若い頃は苦労したの。そんな時、蓮の花の話を聞いて感動しちゃってね…。
蓮の花は、泥の中ほど綺麗に咲くんですって。苦労した分だけ綺麗に咲けるのよ。あなたもきっとそう」
今でも思い出すと、涙が出そうになるんです。私…。』

穏やかだった表情は、一気に鳴きそうな表情に変わる。
我慢しようとはしていたものの…感情移入しすぎてしまったのか、佳乃は本当にそのまま泣き出してしまった。
俺は慌てて撮影を中断し、佳乃に駆け寄る。

「大丈夫?」
「…うん、ごめん」
「そんな顔してると、お母さんが悲しんじゃうよ。
感謝を伝えるためのショートフィルムなんだから、笑わなきゃ」
「…うん」

佳乃の涙がおさまったところで、撮影を再開する。

『…それから、色々あって、どうにかプロダクションに所属できることになりました。
仕事はまだまだ少ないけど、声優デビューもしたし、それに、新しいアルバイト先で、理解者ができた。パートナーになってくれた人がいるんです。』

そう言って佳乃が、真っ直ぐにこちらを見る。
カメラ越しに、俺に微笑みかけてくれる。

『それが、今、これを撮ってくれている私の旦那様。アルバイト先の映画館のマネージャーで、昔は自分でも映画を作っていた人なの』
「…うっ」

敬語を忘れ、嬉しそうに俺を紹介してくれる彼女が眩しくて、思わず声が漏れてしまった。

「…大丈夫?」
「うん、ごめん」

後で俺の声だけカットしとこう…。
そう思いつつ、一旦撮影をやめて、着替えはじめる。

最後は、別の衣装で撮影をするから。


『ねえ、お母さんの言ったこと、本当だったよ。』

純白のウェディングドレスに着替えた佳乃が、カメラの前で澄んだ声を弾ませる。

『苦労したこともあったけど、幸せになれた。
仕事も、パートナーもできて…今、すごく幸せで。
だから、このショートフィルムで、それが少しでも伝わればいいなって、思います。』

そう言って手招きする佳乃に応えるため、俺はビデオカメラを固定し、カメラの前に行く。
衣装はもちろん、タキシードだ。

「お義母様、結婚を認めて下さってありがとうございます。
改めまして、これからも俺達を、よろしくお願いいたします」
「お願いいたします!」

2人で目一杯頭を下げる。
たっぷり10秒くらい、深く頭を下げた後…同時に頭を上げ、目が合った佳乃と笑い合った。

カメラの後ろ側に周り、停止ボタンを押す。
「どうだった…?」と少し不安そうに聞いてくる佳乃に「すごく良かった」と伝えると、彼女は「よかった…!」と顔を明るくさせた。
ほっとして力が抜けたのか、大きく息をついた彼女の目には、また少し涙が浮かんでいた。

結婚式の前撮りと一緒に母に贈るビデオを撮りたい、と言われ了承したものの、まさかこんなショートフィルムのようなものを撮ることになるとは思わなかった。

「ねえ、普通のビデオメッセージじゃだめだったの?」
と聞くと、佳乃は答える。

「お母さんに、あなたのことをもっと知って欲しいから。
私を綺麗に撮ってくれる、私を笑顔にしてくれる人だって」
「…そっか」

俺のことをこんなに想ってくれる人と結婚できるなんて、俺の方こそ幸せだ、と思う。

「あ!」
「どうかした?」
「指輪の話忘れてた! せっかく蓮の花モチーフの結婚指輪を買ったのに」
「…ああ」

薬指に着けた『LOTUS』の指輪に触れながら佳乃が言う。
そうだ、確かに忘れてた。なかなか2人とも気に入る指輪がなく困っていたときに、偶然見つけた『LOTUS』の指輪。
彼女はそれを見て、普段は絶対に出すことのない大きな声で「これにしよう!」と叫んだ。
驚いたけど、蓮の花にこだわる理由を聞いて納得した。
そして、ここで見つけたのも縁だから、と購入することに決めたのだった。

「撮り直す?」
「…いや。次会ったときに話せばいいよ。
これからいくらでも実家に帰れるし、話す機会もあるんだから」
「…そっか、そうだね」

指輪の話もしたかったけど、あまり余計な編集を加えたくなかったから、俺はそれ以上撮るのをやめた。

話し方はぐちゃぐちゃで、最後に至っては台本も何もなく、ただメッセージを伝えただけのショートフィルムだ。
でも、これは最高の映画だと思う。
ここにはありのままの佳乃が映っているから。
ありのままの彼女が、一番綺麗で、素敵だから。

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