Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
親友の来海(くみ)が結婚した。
その知らせを聞いて、私はとても驚いた。
小学校から高校までずっと一緒だった来海は、一言で表すと、穏やかでマイペース。
恋愛なんてしないどころか、恋愛という言葉自体知らなさそうな子だった。
だから、そんな来海が私より先に結婚したと聞いて、本当にびっくりしたし、不思議なこともあるものだなあ、と思った。
…でもまあ、なにはともあれ親友が幸せになったことは嬉しい。
最近新居に引っ越したというので、お祝いの意味も込めて遊びに行くことにした。
「さっちゃん! 待ってたよ~!」
玄関のチャイムを鳴らすと、何故か片手にフライ返しを持った親友に出迎えられた。
「ごめんね、もうちょっと時間かかるから、それまで家の中見ててー」
よくわからないけど、何か料理を作っているらしい。
来海はそれだけ言ってすぐにキッチンに戻ってしまったので、私は彼女の言葉通り家の中を見て回ることにした。
新居はめちゃくちゃ広い、というわけではないもののおしゃれな造りの2LDKだった。
小さいながらベランダもあり、洗濯物が干してある。
窓の側には笑顔の二人が写っている写真が飾られていて、その隣にかかっているカレンダーには次の休日の予定が書き込んである。
こういうものを見ると、幸せに暮らしているんだなあ、と思う。
「おまたせ~!」
準備ができたというので食卓に向かうと、私の席と思われる場所に、ふわふわで厚みのあるパンケーキが用意されていた。
「何でパンケーキ?」
「こないだ、おいしいパンケーキの作り方教わったんだー。だから、さっちゃんに食べてもらいたくて」
きらきらした目でそう言いながら、「さ、座って座ってー」と私に椅子をすすめる来海。
相変わらずマイペースな彼女に、来海らしいなあ、と思いながら、私は席に座り、パンケーキを口にする。
「ん、おいしい」
「でしょー?」
彼女は満足そうに笑って、ダイ君に教えてもらったんだ、と話す。
ダイ君というのは、来海の旦那さんのことだ。
雄大(ゆうだい)という名前だからダイ君と呼んでいる、と前に教えてもらったことがある。
「こないだ一緒にカフェに行ったらね、ダイ君がこれ家でも作れないかなあって言って、研究しはじめて。それでおいしいのができたから、レシピ教えてもらったんだー。家で食べられたら、カフェに行かなくても二人で食べられるでしょって言われたから、嬉しくって」
「はいはい、ごちそうさま」
悪気はないんだろうけど、独身・彼氏募集中の私へのダメージが大きすぎる惚気話が延々と続きそうな気がしたので、私は慌てて話を遮り、話題を変える。
「そういえば、このパンケーキ、クルミ入ってる?」
「うん、そうなの。クルミはね…」
と、どうにか別の話に持っていったところで、もう一人の家主が帰ってきた。
「ただいまー」
「あ、おかえりー」
玄関から声が聞こえると、来海は嬉しそうに玄関に向かっていく。
雄大さんは、すごく体格の大きい人だ。
どれくらい大きいかというと、小柄な妻と並んだら、親子のように見えなくもないくらい。
でも、威圧感はまったくなく、優しいオーラを全身に纏っていて、会うたびにいつも来海にぴったりの人だなあと思う。
「お邪魔してます」
「こんにちは、紗智(さち)ちゃん。狭いけどゆっくりしていってね」
「ありがとうございます」
そんな雄大さんと挨拶を交わしていると、来海が思い出したように「あ、クルミの話」と言いだした。
「ああ、うん」
「私たちの指輪も、クルミなんだー」
そう言って来海は、左手の薬指に光る指輪を私に見せた。
ピンクゴールドがアクセントになっている指輪で、真ん中にはダイヤが一粒、包み込まれるように埋めこまれている。
「クルミって、『包み』とも書くでしょ? そういうところからイメージしてデザインされてるんだって」
「素敵だよねー。つけ心地もいいし」
「ねー」
そう言って来海と雄大さんはにこやかに笑い合う。
普通の会話をしているだけのように見えるのに、なんだか一つ一つが穏やかで、幸せオーラに満ちていて…。
なるほど、彼女が結婚した理由がわかった。
「良かったね。波長の合う、いい人にめぐり会えて」
「うん。最初は友達って思ってたんだけど、一緒にいるうちに、どんどん大切になっていって、ダイ君がいないと嫌だなって、思うようになって。結婚できて、ほんとによかった」
心から嬉しそうに笑う来海と、僕もだよ、と言って彼女を抱きしめる雄大さん。
私はなんだかもう僻む気すら起こらなくなって、ただただいいなあって思いながら、二人の様子を見守っていた。
きっとこれからも、優しくて温かい家庭を築けるんだろうなあ。この二人だったら。
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