Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
可愛い雑貨に囲まれながら働くのって楽しそう!
そんな夢を見られたのは、社員として入社する前までだった。
実際の雑貨屋の仕事は数多くの商品の検品、入れ替え、売上の管理…接客以外の仕事の方が中心で、残業が続く。
気づけば今日も22時を回り、私は屈んで作業をしていたために痛む腰をとんとんと叩きながら店の鍵を閉めた。
「腰痛いの?」
数歩歩いたところで声を掛けられ振り向くと、すぐ後ろで彼氏の守人(もりと)が、心配そうな顔で私を覗き込んでいた。
「まあね、でも大丈夫」
「ほんとに?千絵(ちえ)はすぐ無理するから、俺、心配で心配で」
「大丈夫だって」
心配性な彼は毎日車で私を迎えに来る。
そして車内で、何か嫌なことや辛いこと、それに対して自分にできることはないかを尋ねてくる。
私は何もないよ、心配しすぎ、と答えながら、心の中で彼に感謝をする。
もうこんな生活が、半年も続いている。
「今日のはね、ちょっとしょっぱいけどお酒に合うと思う。食べてみて」
家に帰り私がシャワーを浴びて出てくると、テーブルにはお酒と夜食が並んでいる。
日替わりの夜食は、居酒屋で調理スタッフとして働く彼が日々研究している、次の新メニュー候補たち。
たまに外れもあったりするけど、大抵は美味しい。
「ん。 …いや、さすがにこれはしょっぱすぎない?」
「えー、そうかなあ」
私の言葉に守人は首をかしげながら、でも千絵が言うならしょっぱいのかなあ…と肩を落とす。
「いや、でも、味は悪くないから」
「…ほんと?」
「ほんと」
落ち込む彼をそう励ますと、
「うーん、じゃあ、明日はちょっと味付け変えてみる!」
と彼は言って皿を片付け、台所に向かった。
ソファに座り、私はなんとなくつけたテレビ番組をぼんやり見ている。
台所では、「明日はあの野菜を使って…」「味付けはこうして…」とぶつぶつ呟きながら、守人がお皿を洗っている。
いつも彼にやらせるのは申し訳ないから、と皿洗いを申し出たこともあったけど、片付けるまでが料理だから、と断られてしまった。
だからなんとなく、夜はこんな風に過ごすことが日課になってしまったけど…。
「優しいし、夜食作ってくれるし、一緒にいると楽しいし。
昔からなんとなく描いていた恋人との理想の暮らしが、そのまま形になったみたい」
ううん、むしろ『なんとなく』描いていた夢と違って、今の方がずっと楽しくて、幸せだ。
「このまま結婚できたら、もっと幸せだろうなあ」
私はソファーでリラックスしながら、ぼんやりとそう思う。
「千絵、今の言葉、ほんと!?」
「え?」
急に台所から大きな声が聞こえたかと思うと、守人が私の元に駆け寄ってきた。
「何が?」
「だから、今の、結婚できたら…って言葉」
「え」
彼に問い詰められて、私はやっと、思っていたことを無意識のうちに口に出してしまっていたことに気づいた。
どうしよう、言うつもりなかった結婚なんて言葉を出してしまったけど…彼の重荷になったりしないだろうか。
「えっと、あのね、今のは」
「千絵、俺と結婚したい? してくれる?」
「えっと…」
もちろん、結婚できたら嬉しいけど、でもそんな急に言ったって困るだろうし。
どう答えるのが正解なのか迷っていると、彼はテレビ台の棚の中からいつの間に隠していたのか小さな箱を取り出し、その蓋を開けながら私の前に跪いた。
「ずっと渡したかったんだけど、重かったらやだなって思って、言えなかった。
『ma cherie』っていう指輪なんだ。『私の愛しい人』っていう意味」
彼は不安そうな、でもとても真剣な表情で、私の目を真っ直ぐに見つめる。
「千絵さえ良ければ、俺と結婚してほしい。
誰より愛しい君に、俺の気持ちを受け取ってほしい」
「…っ」
感激で言葉が出ない。
まさか、ずっと彼も、私と結婚したいと思ってくれていたなんて。
こんな素敵な指輪とプロポーズを考えてくれていたなんて。
「千絵?」
「…ん」
言葉の出ない代わりに、私は左手の薬指を守人に差し出す。
彼の表情がぱあっと明るくなり、嬉しそうに指輪を通す。
心配性で、優しくて、私の描いた夢を叶えてくれる、大好きな彼。
この人が私の王子様で、本当に良かった。
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