Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
なんだか外が眩しい。
カーテンの隙間から漏れた光を見てそう思った私は、寝ぼけ眼で枕元にあるスマホをたぐり寄せる。
画面を見ると、時刻は11時を回っていた。
「もう、お昼か…」
昨晩色々あったからか、少し寝過ぎてしまったみたいだ。
私はベッドから起き上がり、目を覚ますために洗面所へと向かう。
冷たい水を思い切り顔にかけると、ぼやけていた意識が少しずつはっきりしてきて…同時に、私は昨夜の彼の言葉と、それに対する自分の返事をはっきりと思い出した。
『だめって言うなら、今回も待つ。でも言わないと気が済まなくて』
1年前に初めて出会ったカフェで1年前と全く同じ席に座った健太は、5ヶ月前と同じ真剣な表情で言った。
『真由。俺と結婚して欲しい。』
彼にプロポーズされたのは2回目だった。
私たちは6つも年が離れていて、1回目にプロポーズされたとき、彼はまだ23歳だった。
まだ若いし、付き合って半年を過ぎたばかりだし…色々な言い訳を並べたけれど、何より心の準備ができなくて、私はプロポーズを断った。
でも、2回目の昨日は、何故かすんなり、「はい」という言葉が出てきた。
彼の気持ちを受け入れた私は、その日彼と、結婚の約束を交わした。
「…そっか、私、結婚するのか」
顔を洗い終え、遅い朝食のパンを囓りながら、私はまだ夢を見ているみたいに呟く。
でも、そんな私を起こそうとするかのようにスマホが鳴った。
『ねえ、真由。こんなのどうかな?』
健太から、メッセージと共にどこかのページへのリンクが送られてきたので、タップしてリンクを開く。
すると、『Bridal Collection』という文字と共に…まるでお姫様がつけるような、可愛らしい指輪がスマホの画面に表示された。
「…え」
上に婚約指輪という文字が書いてあることから、多分、私への婚約指輪のつもりでリンクを送ってきたのだろう。
いや、でも、こんな…こんな可愛すぎる指輪、私には無理だ。
だってもう30だし。可愛いなんて年じゃないし。
私は慌ててそんな内容のメッセージを健太に返す。
すると、一度は『真由なら大丈夫だよ』というメッセージが返ってきたけど、それ以降返信が来なくなった。
諦めてくれたかな…とほっとすると、今度は家のチャイムが鳴る。
「真由」
玄関のドアを開けた先にいたのは、今さっきまでスマホ越しに会話をしていた、私の婚約者だった。
「指輪、どこが嫌だった?」
改めて健太に聞かれ、私は言葉に詰まる。
「デザインとか?」
「ううん。デザインは好きなんだけど…」
むしろ、デザインは好きだ。ただ、可愛すぎてつらい。
ピンクの爪にダイヤが留まったシンプルで可愛い婚約指輪は、まるで小さい頃にやったお姫様ごっこのお姫様の指輪みたいだ。
綺麗で可愛くて、キラキラしていて。
でも、だからこそ、大人になりすぎた私にはもう似合わない。
だから、違う指輪にしよう…そう言って私が健太を見ると、彼は「へ?」と間抜けな声を出した。
頑張って気持ちを伝えたつもりだったけど、どうやら全く伝わらなかったらしい。
彼はきょとんとした顔で、「よくわからないけど、何も問題ないじゃん」と言った。
「今でも似合うし、真由は俺にとってお姫様だし」
「お姫様なんかじゃないよ。私、もう30だよ」
「年齢なんか関係ないって。気に入ったんだったら、これにしようよ」
健太はそう言ってくれるけれど、私にとって可愛い指輪を付けるのはそう簡単なことじゃない。
「ピンクなんて似合わないよ」「そもそも婚約指輪なんて、高いし」「結婚だって、OKはしたけど、すぐにするわけじゃないし」と必死に言い訳を並べて抵抗した。
でも、その度に「似合うよ」「俺がお金出すからいいの」「結婚はまだ先でも、今から証が欲しい」と真っ向から返されるので、仕方なく、本当に仕方なく、折れることにした。
「…じゃあ、試着だけなら」
「ほんと?」
「付けてみるだけだから!」
「…わかった」
私の言葉に、健太は神妙に頷いた。
そして、おもむろにポケットから指輪を取り出し、私の指につけようと…。
「…って、何で持ってるの!?」
「よかったー、もしデザインが嫌とかだったらどうしようかと思った」
ごめんね、実はもう買ってたんだ。
健太は私の覚悟も知らず、あっけらかんと言った。
しかも、私が驚いて固まっている間に、「真由、愛してる」なんて言いながら、ちゃっかり指輪を通してしまう。
…もう、なんなの、いったい。
必死に作り上げた言い訳の壁をいとも容易く破壊する、甘い指輪に甘い言葉。
それは恥ずかしくて、くすぐったくて、嫌なのに、ちょっと嬉しい。
…はぁ。
私、これからこんな甘すぎる生活に、耐えていけるんだろうか。
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