Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
小さい頃から、他の女の子たちより身長が高いことがコンプレックスだった。
クラスではいつも後ろから一番目か二番目。
何もしてないのに怖いと言われ、身長が高い女子というだけで注目を集め、時に悪口を言われる。
そんな毎日が嫌で、学生時代はずっと教室の隅の方で目立たないように過ごしてきた。
その癖は、社会人になってからも抜けなかった。
周囲の視線が怖かった私は、職場でも極力目立たないように過ごした。
仕事で人と接するときは、出来る限り威圧的に見えないように気を使った。ヒールの高い靴なんて、もちろん履けなかった。
窮屈だった。でもそれ以上に、目立って馬鹿にされるのが怖かった。
…そんな私にも、たったひとつだけ、背筋を伸ばして輝ける場所があった。
それが、趣味であるダンスのステージの上だった。
ダンスは身長が高くても何も言われない。
与えられた舞台で、全身を使って踊る。曲を表現し、時に曲の中の登場人物になりきる。
ダンスの中でだけは、私は自由になれた。
だから、例え発表会の本番でも緊張せず踊り切ることができた。
踊っている間だけは、毎日のストレスもコンプレックスも、全て忘れて楽しむことができたから。
「ダンス、すげーかっこよかった!
綺麗だし、身長高いから迫力もあるし!」
通っているダンススクールの発表会があったある日のこと。
プログラムもすべて終わり、一人帰ろうとしていた私の前に、その人は突然現れた。
その人は、きらきらと目を輝かせて、私にダンスの感想を伝えた。
身長は同じか、少し低いくらいの男の人だった。
「あ、ありがとうございます」
彼の言葉に、とりあえずそう答えたけど、内心少し複雑な気持ちになる。
こういう時、身長が高いのは確かに便利だ。
でも、身長が高いのは、決して良いことばかりではない。
私が素直に喜べず、ただ頭を下げていると、彼は私をじっと見つめた後、不服そうに唇を尖らせてこう言った。
「そんな縮こまってちゃ勿体ないよ。せっかくかっこいいのに」
彼はそれから、高身長であることがいかにダンスに有利か、高身長の人のダンスがいかにカッコいいか、そして自分がいかにそれに憧れているかを熱く語った。
不思議なことに、彼の中に妬みや僻みの感情は一切なかった。ただ純粋に、彼は高身長に憧れていた。
そんな純粋できらきらした瞳を持つ彼が、私にはとても眩しく映った。
彼のおかげで自分の身長の高さが少しだけ好きになれた私は、その日から少しずつ、縮こまらずに過ごすようになった。
ダンスの時も、今まで以上に積極的に、体全体を使って曲の世界を表現するようにした。
すると、楽しかったダンスはもっと楽しくなり、先生にも褒めてもらえるようになった。
…それからしばらくして、別の発表会で彼に会う機会があったので、私は彼にあの日のお礼を言いに行った。
彼は相変わらず眩しかった。今回も私のダンスを見ていてくれたらしく、あの日と同じように目を輝かせて感想を言ってくれた。
「今回も、すっげー良かった!」
ただ褒められただけなのに、嬉しくて、心臓がどくん、と鳴った。
…あれ、なんだろう、この気持ち。
「…ありがとう」
私は声が震えないように、できるだけ冷静にそう言った。
言いながら、頭の中で、心臓が高鳴る理由を必死に探していた。
「うん」
一方、彼はそんな私の変化に気づいた様子もなくにっこりと笑った。
彼が笑えば笑うほど、何故か心臓が痛くなってくる。
「…あの、それじゃあ、私はこれで」
彼の顔を直視できなくなった私は、とりあえずその場を離れようとした。
「あ、待って」
しかし、そんな私を彼は逃がさなかった。
「あのさ、来週末に近くでダンスのイベントがあるんだけど、一緒に見に行かない?」
「…え?」
頭がパニックになって、言葉を失った。
固まった私を見て、彼は「嫌だったならごめん」と謝った。
その言葉ではっと我に返った私は全力で首を横に振り、「行く」という二文字の言葉をどうにか絞り出した。
「よかった」
嬉しそうに笑う彼の顔を見て、私は彼に恋をしていることを自覚した。
イベントの帰り、私はいてもたってもいられなくなり、「何で私を誘ったの?」と彼に聞いた。
すると彼は、「そりゃあ、佳代(かよ)と一緒にいたいから」と、何でもないことのように言った。
「え?」
「だって俺、佳代のこと好きだもん」
あまりにあっさりと言われて、少しの間意味が飲み込めなかった。
私が目を瞬かせていると、彼は追い打ちをかけるように言った。
「ね、俺と付き合ってくれる?」
驚きながらこくこくと頷くと、彼は私の手をぎゅっと握った。
同じくらいの身長なのに、その手は私よりもずっと大きくて、がっしりしていた。
その後も、私と彼…鉱真(こうま)はいろんなイベントに出かけ、ダンスを見たり、一緒に踊ったりした。
鉱真と一緒にいるうちに、いつの間にか、周囲の視線が怖くなくなっていた。
付き合って一年が過ぎた頃、鉱真は私をジュエリーショップまで連れ出した。
そして、キラキラ輝く指輪の一つを指さして、「これとかいいんじゃない?」と言ってくれた。
「…綺麗」
彼が勧めてくれたPapillonという名前の指輪は、光が反射するデザインになっていて、すごくキラキラしていた。
クールだけどキラキラしたデザインが気に入った私が「これがいい」と言うと、彼も「うん」と頷いた。
「これにしよう。俺、佳代といつも一緒にいたいから」
「…鉱真」
『いつもいっしょ』。それは、このPapillonという指輪に付けられたゆびわ言葉だった。
見た目だけじゃなくて、ゆびわに込められた意味まで考えて選んでくれたことが、すごく嬉しかった。
「…よし、行こう」
そのPapillonの婚約指輪をつけて、私は今日、初めて出社する。
指輪を見て、他の人はどう思うだろうか…そう一瞬思ったけれど、すぐに気にすることをやめた。
私は私だ。誰かの意見に左右される必要なんてない。
堂々と指輪をつけ、堂々と一日を過ごそう。
そう決意して踏み出す一歩は、不思議といつもよりずっと軽くて、自由で。
まるで、背中に蝶々の羽が生えたみたいだと思った。
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