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プレゼントを贈るのが好きだ。
記念日でも、記念日じゃなくても。
ちょっとした何かを贈ることで、誰かを少しだけ喜ばせられることが嬉しい。
付き合って3年になる彼にスタバのドリンクチケットを贈りながら、私はそんなことを思う。
遠距離恋愛の私達にとって、プレゼントは大事な交流手段だ。
激務でなかなか休みが取れず、なかなか会いにも行けない彼のために、私ができる唯一の愛情表現でもある。
軽い応援の気持ちを伝えたくなったときは、食べ物や飲み物のクーポンチケットを。
誕生日や記念日には、仕事で使えるようなちょっと高めのポーチや筆記用具などを贈ると、数日以内に「ありがとう!」と写真付きのメッセージが返ってくる。
それが嬉しいから、ついまた送ってしまう。
せめて、私の代わりに、私が贈ったものたちが役立つように。
彼のために少しでもできることをしたくて、私は彼にプレゼントを贈る。
雑誌の編集者になって8年。
何年経っても、仕事が早く片付くことはない。
何故かというと、この仕事は俺一人でやるものではなく、たくさんの人と協力しながらやるものだからだ。
協力する人間の数が増えれば、その分スケジュール調整や各々の都合・能力などが絡み合う。
結果的に待ち時間などが発生し、常にギリギリになる…それがこの仕事をやってきて、学んだことの一つだった。
上手くいかないことも結構あるが、ページが完成する瞬間というのは、いつでも嬉しいし、ここまで頑張ってきて良かったと思う。
だから激務ではあるが、充実した日々を送っていた。
取材の合間や待ち時間くらいしか休む時間のない毎日だけど、その中でほんの一瞬だけ、癒される時間がある。
保育士として働く彼女のブログと、彼女から贈られてくるプレゼント付きのメッセージを読む時間だ。
交際をはじめて3年になる彼女・優子を知ったきっかけは、彼女のブログだった。
日々のささやかな会話や嬉しかったことを素朴な文体で綴っているそのブログに、俺はすぐに惹かれた。
そして、オフ会で出会った本物の彼女は、文章と全く同じ、素朴で優しく、美しい人だった。
彼女とは遠距離で交際を続けているが、プレゼントが贈られてくるたび、彼女が側にいるように感じる。
俺も何かプレゼントしなきゃな…スケジュール帳をめくった先に”クリスマス”の文字を見つけ、そんなことを思う。
彼へのクリスマスプレゼントは何にしよう、と頭の隅で考えながら仕事をしていると、年中組の女の子がやってきて、
「ゆうこせんせー、いいでしょ!」と薬指につけたおもちゃの指輪を自慢してきた。
「いいねー。誰からもらったの?」
「りゅうせー君! 大きくなったらけっこんしようねって、りゅうせー君が”コンヤクユビワ”をくれたの!」
「やるねーりゅうせー君。うらやましいなー」
「せんせーはまだユビワもらえないの?」
「うっ…そうなんだよね…」
「はやくもらえるといいね!」
「…うん、ありがとう」
子ども達と接していると、時々グサッと刺さる一言を言われることがある。
特にこういうラブラブカップル達は、本気で羨ましくなる時すらある。
私も素直に会いたいって言えたらなあ。
指輪が欲しいって言えたらなあ。
結婚できたらなあ…。
ついそう思ってしまうけれど、私は慌ててぶんぶんと頭を振り、願い事を頭の隅へと追いやる。
今はお互いにそんな余裕ないし、言っても彼に迷惑をかけるだけだ。
それよりプレゼントを考えよう。彼のためにできることをしよう。
『4歳児の純粋無垢な言葉が、アラサー女子にはとても痛いのです。笑』
ある日優子のブログを読んだ俺は、クリスマスに指輪をプレゼントしようと思った。
…が、こういう時どんな指輪をプレゼントしたら良いのか、全く見当がつかない。
丁度、次の日に同じくらいの年の既婚女性にインタビューする仕事があったので、インタビュー後の雑談の際、それとなく指輪について聞いてみた。
「そうだ、今度彼女に指輪をプレゼントしようと思ってるんですけど…」
「え、プロポーズするってことですか?」
「あ、ええっと…そういうことになりますかね、やっぱり」
「え、違うんですか? 指輪なんてもらったら、絶対プロポーズだと思っちゃいますけど」
「そういうものですか?」
「男の人にはわからないかもしれないけど…女性にとって男の人から指輪をもらうって、すごく特別なことだから。
好きな人から指輪をもらうのって、多くの女性の憧れだし」
「なるほど…」
「とにかく、贈るなら適当な気持ちで贈っちゃだめですよ。
ちゃんと幸せにする覚悟を持たないと」
「……」
そうか、女性にとって指輪ってそれほど大切なものだったのか。
…じゃあ、優子のあのブログは。
あの出来事があったときに感じていた本当の気持ちは…。
そこまで考えて、俺は決意した。
やっぱりクリスマスに、彼女に指輪を贈ろうって。
「クリスマスには少し早いけど、16日ならどうにか休めそうだから、会いに行ってもいい?」
彼からそんなメッセージが来てから2週間、私はそわそわしながら会える日を待ち続けた。
当日、現れた彼は、会うなり私に「どうしてもプレゼントしたいものがあって」と言った。
贈るのには慣れているけど、贈られるのにはあまり慣れていない私は「うん…?」と間抜けな返事をしてしまったけれど、彼は気にせず、真っ白な小箱を取り出し蓋を開ける。
真ん中にダイヤが留められた、シンプルで綺麗な指輪。
それは私が憧れていた、婚約指輪そのものだった。
「ブログを見て、優子に指輪をあげようと思ったんだけど…そのことを相談したら、指輪は気軽に贈っていいものじゃないって、教えてもらったんだ」
「…?」
「指輪は一生を共にしたいと思える、特別な人にだけ贈るものなんだって」
指輪を見つめる私に向かい、彼はひとつひとつ、これまでの想いを語る。
「優子と出会うまで、仕事以外のことは何も考えられなかったし、何も続かなかった。
そのせいで、身近な人を蔑ろにして傷つけたり、体を壊したりしたこともあった。
でも、優子のブログとプレゼントは、俺に休憩と、日々の大切さ、周りに人がいることのありがたさを教えてくれて…。
優子からのメッセージを読む時間は、俺にとって特別な時間になった。
…だから」
私が彼の方に向き直ると、彼はすぅ、と小さく息を吸い込んで、言った。
「特別な人にしか、指輪が贈れないのなら…
俺が指輪を贈れるのは、君だけだ」
「…っ!」
「アラサーになるまで、待たせてごめん。
俺、優子のことが大切だから、ちゃんと幸せにするから…。
結婚しよう、優子」
彼から紡がれた、憧れていたよりももっと素敵なプロポーズの言葉に、思わず涙が溢れていた。
「…っ、うん、嬉しい、」
どうにかそれだけ返事をして、私は彼の胸に飛び込む。
指輪と指輪を届けに来てくれた彼は、私がこれまで生きてきた中で、一番嬉しく、特別なプレゼントだった。
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