Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
「あああどうしよう、掃除機はかけたし、テーブルと窓も拭いたけど、あと何したらいいかな?」
「恵里香、大丈夫だから、落ち着いて」
忙しなく部屋の中をバタバタと歩き回る恵里香に、僕は声をかける。
「指で埃をすくい取るような母さんじゃないから、大丈夫」
「でも、お義母さんが来るの初めてだし…あんなに広い庭付きのお家に住んでいるのに、うちみたいな狭い部屋で大丈夫?」
「狭さなんて気にしないよ、いつもごちゃごちゃな庭の中で暮らしてるんだから」
僕は恵里香を安心させようとそう言うが、恵里香はやはり落ち着かないようで、三回目のテーブル拭きを始めようとする。
その手を僕が止めようとしたところで、ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。
「あ、来た」
「…!」
緊張の面持ちの恵里香と共に、僕は玄関に行きドアノブを回す。
すると、見慣れた笑顔に見慣れない服を着た母が玄関の前に立っていた。
「こんにちは。ごめんねぇ、エリカちゃん。無理言って押しかけちゃって」
「い、いえ! 狭い部屋ですけど!」
緊張しながら母に応じる恵里香の声を聞きながら、僕は母に「どうしたの、その服」と尋ねる。
「いや、何故か私まで気合い入っちゃって。
たまにはスカートも履いてあげなきゃね、いっつもズボンにエプロンだから」
「すごく似合ってます…!」
「そうかしら? なんだか落ち着かないけど…。
ところで、部屋、入っても大丈夫?」
「あ、どうぞどうぞ!」
恵里香は慌てて母を部屋の中に招き入れ、僕は母の荷物を持ちつつ、玄関に鍵をかけた。
結婚した僕と恵里香が引っ越してきたのは、ややコンパクトな2DKのマンションだった。
そんなに広さや高さを求めているわけじゃないし、二部屋あれば充分。そして何より、将来に向けて貯金したい…そう思いこの部屋を選んだ。
母は間取りを確認するように「こっちが楓(かえで)の部屋で、こっちがエリカちゃんの部屋なのね」と言い、簡単に部屋を見て回った後、お待ちかねのベランダに向かった。
「すごい! いっぱい育ったのねえ…!」
ベランダに入った瞬間、母は立ち止まり感動したように言った。
「お義母さんと、楓さんのおかげです」
「ううん、違うわ。花はアドバイスした人じゃなくて、育てた人の性格が出るの。
あなたが素敵だから、花が素敵に育つのよ」
ベランダにはたくさんのプランターが並んでいる。
最初は1個だったのが、2個、3個と増え、今は一年草から多年草まで揃っていて、年中花を楽しめる。
「いえ、そんな…。でも、お義母さんのところみたいな素敵な庭を、いつか作ってみたいです」
「あら、そうなの? じゃあ…先は長いかもしれないわね」
母は冗談めかしてそう言い、恵里香も「そうですね」と苦笑する。
母は花に生涯を捧げているような人で、家事以外の時間はほとんど庭で過ごしている。
その庭には、本人にも何種類あるのかわからないくらい、たくさんの花が咲いていて…まるで小さな植物園のように、季節ごとに色とりどりの花が見頃を迎え、見る人の心を癒す。
いつの間にか立派になりすぎてしまった庭は、周囲の人達の見たいという要望もあり、今はオープンガーデンとして多くの人に開放している。
…思えば、その庭を恵里香に見せたのが、全てのはじまりであり、きっかけだったような気がする。
「もっと大きくしたいなら、ここより広いところに引っ越さなくちゃね。楓、ちゃんと貯金してるの?」
「まあ、一応」
「ふうん。とにかく、”エリカちゃん”も元気そうで良かったわ」
母はその後もベランダだけはじっくり眺めた後、「うちの庭も少し整えたくなったから」と、話もそこそこに帰って行った。
「…本当に、ベランダを見に来ただけだったね」
その日の夜、ベランダで恵里香は今日のことを振り返るようにそう言った。
「まあ、そういう母親だから」
恵里香の隣に並び、僕も一緒にベランダの花を見る。
昔の話をしたせいか、引っ越す前に恵里香が住んでいたマンションのベランダを思い出す。
何もなかったそのベランダに、最初のプランターを運び込んだのは僕だった。
「部屋汚いって言われなくて良かった」
「そんなこと言う親じゃないし、ちゃんと綺麗にしてたから」
「…素敵って言ってもらえて良かった。私、変われたかな」
「うん」
恵里香が花に興味を持ったきっかけは、ストレスで片付ける余裕がなくなっていた部屋を一気に片付け、花を飾ったことだったという。
新しく部屋に入ってきた生花の美しさに感動し、自分でも花を育ててみたいと思うようになったのだそうだ。
何を育てようか迷っていた恵里香は、実家のオープンガーデンを訪れ、一目惚れした花を育てることにした。
小さいけれどたくさんの花を咲かせ、庭を美しく彩る花を。
「”エリカ”も、立派に育ってるし」
僕はそう言って、恵里香の手を握る。
偶然にもそれは、同じ”エリカ”という名前の花だった。
初めて花を育てる恵里香のサポートをすることになった僕は、質問に答えたり、送られてくる花の写真から状態を判別したりしながら、恵里香を手伝った。
そして、エリカの花が咲く頃には、恵里香にも笑顔の花が咲くようになっていた。
「ありがとう、楓」
恵里香はそう言うと、僕の手をぎゅっと握り返してきた。
「本当に、楓のおかげ」
そんな恵里香と僕の左手には、「きっかけになった庭と花をモチーフにした指輪だから」と恵里香が選んだ、『Garden』の結婚指輪が付いている。
そして、恵里香の指にはもうひとつ、「恵里香をこれからずっと幸せにしていきたいから」と僕が選んだ、『Garden』の婚約指輪が付いている。
「うん、恵里香が幸せなら、良かった」
ちゃんと誓いが守れていて良かった。
そう思いながら、僕は恵里香の手を、改めてしっかりと握る。
『ふたりが築く家庭には いつも笑顔が咲き誇りますように。』
ーそんな願いが込められた『Garden』の指輪は、今日も僕達二人の想いを、しっかりと繋いでくれている。
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