Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
「俺はきっと、君に出会うために生まれてきたんだ。
だから、麻子…俺と、結婚してくれないか」
そんなプロポーズを受けて結婚した私たちのマリッジリングは、天の川モチーフの『Milky Way』というリングにすぐに決まった。
その理由は、籍を入れた日が7月7日の七夕だったからだ。
プロポーズの後、「両親は七夕に入籍したんだ」と彼に話したら、彼はひどく感動して、「俺たちもそうしよう」と言った。
「どんな困難があっても、必ず乗り越え、巡り合う…そんな織姫と彦星のような夫婦を、俺たちも目指そう」
彼のその熱い言葉と瞳に惹かれた私は、笑顔で「うん」と返事をした。
本当に、あの頃の私たちはラブラブで…若かった、と思う。
一方、今はというと。
「なんだ、今日の昼も素麺か」
「いいでしょ、今日も暑いんだから」
素麺を茹でるのにも一苦労な夏真っ盛り。
タンクトップ一枚の私は、暑い中でも汗をぬぐいながら家族の分の昼食を作り、食卓に出す。
結婚から早6年。
30代も半ばに差し掛かり、おしゃれや化粧をするのは、今やどこか遠出をするときだけになってしまった。
「今日もそうめんだ!」
「うん、暑いからね。優斗も早く席について」
「えー!」
「いいから早く」
今、私たちの間には4歳になる息子がいる。
やんちゃ盛りで、親の言うことはほとんど聞かない。だから毎日食事をさせるのも一苦労だ。
…まあ、これでも赤ちゃんの頃に比べたら手がかからなくなってきた方だけど。
そう思いながら私は優斗を席に座らせ、自分も席につき、いただきますの手を合わせる。
すると、向かいに座っていた旦那が早速私に文句を言い始めた。
「なあ、ママ。この素麺、ちょっと茹ですぎじゃない?」
「え?」
「あと、いつもとメーカーも違う気がする」
「あー、ごめん、安かったから別のにしちゃった」
「そっか…んー、やっぱりいつもの方がいい気がするんだけどな」
「…うん」
結婚当初の熱はどこに行ったのか、彼は今やすっかり我儘夫になってしまった。
一回の食事だけでも、今みたいに二言は文句を言う。
うちはそこまで経済的な余裕があるわけでもないし、素麺を茹でるだけだって夏はこんなに汗だくになるのに。
私なりに一生懸命頑張っているんだから、もう少し労って欲しいんだけどな…。
「あ、あとさ、そうめんのつゆも…」
…しかし、そんな願いもむなしく、彼は労うどころか更に注文をつけようとしてくる。
暑さのせいか、日頃の不満が溜まっていたせいか。
何故か今日はこれ以上受け流せず、私は怒りを爆発させてしまった。
「あーもう! そんなに文句があるなら自分で用意してよ!
私もうご飯作らないから!」
私は旦那にそう言い放ち、自分の部屋に駆け込み鍵を掛ける。
…結局その日、私は昼食を食べ損ね、夕食は外で済ませて部屋に帰ってきた。
こんな小さなことで怒って家事も育児もサボるなんて、私は一体何をやってるんだろう、と思う。
でも、一度こうなってしまったら、なかなか謝るきっかけも掴めないし…。
「はぁ…」
悩んでいるうちに、気づけば日付が変わってしまっていた。
ーコンコン。
0時を回ってすぐ、部屋をノックする音が聞こえた。
多分、旦那だろう。気まずいと思いつつも部屋の鍵を開けると、笹の葉を持った旦那がドアを開けて中に入ってきた。
笹の葉を持っているということは…。ああ、そうか。今日は七夕なのか。
じゃあ、謝らなきゃ。私はそう思い彼に頭を下げた。
「「ごめん」」
謝罪の言葉が彼と重なった。
一瞬驚いたけど、私はすぐに言葉を続ける。
「怒って家事放棄しちゃってごめん。優斗はもう寝た?」
「うん、さっき寝かしつけた。ママのことを心配してたから、パパが謝って仲直りするから、って伝えといた」
「そう」
「ごめんね。言い訳になっちゃうけど…。確認してただけのつもりだったんだ。
素麺の種類も茹で具合もいつもと違ってたから、どうしたのかなって。
…追い詰める気はなかったんだ。本当にごめん」
「…ありがとう、謝ってくれて。仲直りしよう、七夕だし」
「うん」
結婚する時に、これだけは守ろうと二人で決めたルールがある。
どんなに忙しくても、毎年七夕の日だけは、一緒に空を見ること。
喧嘩したり困難なことが起こっても、この日だけは仲直りして、手を取り合って、一緒にいること。
このルールだけは、結婚から6年経った今も守り続けている。
それから、私達は冷蔵庫からビールを持ち出し、ベランダに出て、仲直りの乾杯をした。
この日しか使わない専用の椅子に座り、二人で七夕の夜空を見上げる。
「あっ、天の川!」
すると、空を見上げていた旦那が急に叫んだ。
「えっ、どこ?」
私にはよく見えず、暗い空にじっと目を凝らす。
「ここ」
しかし旦那は、空ではなく、私の手を取ってそう言った。
持ち上げられた左手に光るのは、『Milky Way』のマリッジリング。
そこには、天の川のように7つのダイヤが散りばめられていて…。
…ああ、結婚して何もかも変わったように思えていたけど。
そういえばこの人は、普段はそんなキャラじゃないくせに、時々こういう気障な台詞をあっさり言ってしまうような人だった。
「…もう」
プロポーズの時の、彼の言葉を思い出す。
『俺はきっと、君に出会うために生まれてきたんだ。』
その時描いた未来と今は、少し違うかもしれない。
それでも、毎年この日だけは何となく思うんだ。
“私も、もしかしたら彼に出会うために生まれてきたのかもしれない”
…なんて乙女なことを、ほんの少しだけ。
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