Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
ガラス張りのエントランスが煌びやかなフレンチレストランの前で一つ息を吐く。
黒で統一された店内は、シックで張り詰めた緊張感があり、まるで僕たちのことを試そうと待ち構えているように見える。
自分で予約しておきながら、入るのが躊躇われるような空間だ。
つい二の足を踏んでしまった僕に先駆けて、君はいち早く店内へと足を踏み入れ、僕はそれに慌てて追従する。
「いらっしゃいませ」
タキシードを着たスタッフたちが、列を作って僕たちのことを出迎えてくれる。
その中を悠々と歩く君は、やっぱりこういう場にいるべき人間なんだと思わされてしまう。
レディー・ファーストとかじゃなく、自然に後を付いて行くことになってしまう自分が、少し情けなくもあり…
でも彼女にとって、悪くないパートナーだという自信だけはあるんだ。
今日この日を迎えられたことが、何よりの証拠のはずだから。
「どれがいいかしら」
席につき、種類豊富なワインリストを見て、彼女は呟いた。
ソムリエに訊くべきかとも思ったけど、きっと彼女は僕に答えてもらいたがっている。彼女の好みに合わせて、フルーティーな香りの赤ワインを勧めると、ほんの少し彼女の口角が上がった気がした。
そうしてやってきたワインの入ったグラスを持って…僕たちは乾杯した。
「薫さん。お誕生日、おめでとうございます」
「ありがとう」
運ばれてきたワインのように深みのある赤のドレスを纏った、薫さんは美しい。
特に、今僕に向けられている強い輝きを持った瞳は…息をするのも忘れてしまうほど美しいと思う。
「このコース、高かったでしょう」
「…いえ、薫さんに合わせるなら、このコースしかないでしょうから」
僕の回答に薫さんが頬を緩めたところで、最初の料理が運ばれてきた。
彼女の誕生日を祝うのに相応しい、見た目も味も一級品の料理が、テーブルを埋めていく…。
——食事も終わり、残すはデザートのみといったところで、僕たちは2本目のワインを注文した。
極上の白ワインがグラスに注がれ、ウェイターがテーブルから離れたところで、僕は薫さんの目を見つめ話を切り出す。
「薫さん。頼まれていた、誕生日プレゼントです」
バッグから小箱を取り出し蓋を開くと、ティアラのような形をした、上品で美しい、プラチナ製のダイヤモンドリングが顔を覗かせる。
「薫さん…いえ、佐々木薫子さん。僕と結婚してください」
薫さんは返事をせず、少しの間僕をじっと見つめた。
それから一言だけ、僕に質問する。
「どうして私と結婚したいの?」
戸惑いのない彼女の目を見て、僕は彼女が結婚に迷っているわけではなく、ただ僕の意思を確認しようとしているのだと感じる。
それならば、今こそしっかり伝えなければ。僕は姿勢を正し、彼女への思いを口にした。
「貴女が美しいと思ったからです。見た目はもちろん、姿勢も、生き方も。
欲しいものを手に入れ、信じたいものを信じ、叶えたい夢を自身の力で叶えていく…貴女の人としての強さと美しさに、すっかり惚れ込んでしまったからです。
それから、最後に…これは僕の我儘ですが、できることなら、もっと貴女の人生の傍に寄り添い、貴女をずっと支えていたいと、そう思ったからです」
僕の長い回答が終わると、薫さんは「ふふ」と笑って視線を逸らし、ワインを一口飲んだ。
「ありがとう。貴方のそういうところ、好きよ」
そう言って箱に手を伸ばしたので、僕は中の指輪を取り出し、薫さんの薬指に通す。
「私はね」
薬指におさまった指輪を嬉しそうに眺めながら、薫さんは言う。
「貴方が今のようにいつも、私の言葉の意図を汲み取って、欲しい返事をくれるところが好き。
深くしっかり物事や私のことを考えてくれる貴方となら、これから起こる良いことも、悪いことも、すべてわかち合って生きていける…そう思えるから」
ねえ、そうでしょう?
そう言って僕に微笑みかける彼女の言葉と笑顔は、あまりに美しく、魅力的で…。
この後食べたどんな一流スイーツの数々よりも甘く、食後まで僕の心を惑わせ続けた。
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