Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
町外れにある小さなケーキショップの引き戸を開けると、中には小さな女の子とその両親、それから女の子を接客する店員の女性。
どのケーキを買おうか迷っている女の子に、「イチゴのケーキはどうかな」とショートケーキを指さした店員に目が行く。
女の子の「これにする」という言葉に微笑む彼女を見て、この2年間でよく笑うようになったな、と思った。
2年前、バイトしていたコンビニに新人として入ってきた朋香は、尖った一匹狼のようだった。
周囲の気遣いは拒否し、勤務時間が終わると即帰宅。サボりこそしないものの、誰もが近づきがたい空気を纏っていた。
常連客に世間話をされても黙ったままの彼女を、皆は無愛想だと言ったけれど…俺には人との接し方がわからず、戸惑っているように見えた。
そんな彼女の緊張を解くべく、俺はあろうことか、彼女の誕生日にケーキを持って家に押しかけた。ケーキにろうそくを立て、ハッピーバースデーの歌を歌い…自分でも思い切ったことをしたなと今では思うが、その行動は彼女の孤独に、奇蹟的にぴったりとはまるピースだった。
「誕生日を祝われるなんて、生まれて初めて」…ろうそくの火を吹き消しながらそう言った彼女は、両親との辛い過去や、今も人と接するのが怖いことを、少しずつ話してくれた。
上手く笑えない彼女を、少しでも笑顔にしたい…そう思った俺は、その日からずっと彼女の側で、彼女を支え続けた。
声を出す練習、笑顔を作る練習、人と話す練習。彼女のたくさんの練習に付き合い、一緒に少しずつ乗り越えてきた。
そして…。
ろうそくの火を吹き消した日から、2年後の今日。
朋香が自然に笑っている姿を見て、俺はやっと、この2年で彼女に笑顔を灯すことができたのだと実感し、安心している。
「正隆!待たせちゃってごめんね」
これまでのことを思い出していると、バイトを終えた彼女が店の奥から出てきた。
気にしないで、と俺は答えて引き戸を開け、ケーキの箱を持った彼女と外に出る。
「私もいつか、あんな家庭を作れるようになるかなぁ」
接客していた親子を思い出したのか、家に向かう途中、朋香が少し俯きながらそう呟く。
「ここまで来れたんだ、朋香なら大丈夫」
俺がそう答えると、朋香は少しはにかんだように「ありがとう」と言って笑った。
ああ、やっぱり俺は、この笑顔が見たかったんだ。
今日まで、お前のやってることは偽善だって、いろんな人に言われた。
そんな彼女面倒なだけでしょ、とも何度も言われた。
いつもの俺だったら、そんな時、諦めて流されてしまっていたけど…
でも、朋香のことだけは、何故か、誰に何を言われても諦めたくなかった。
彼女を守りたいと思うだけで、強くなれた。
彼女の笑顔が見られただけで、心が温かくなった。
この2年間、本当に支えられ救われたのは…彼女じゃなくて、俺の方だったんだ。
「朋香」
「なに?」
「…いや、なんでもない」
彼女が愛しくて、つい、俺はポケットの中の指輪を渡しそうになり…慌ててもう一度、ポケットの中に手を引っ込めた。
「さ、早く帰って、ケーキ食べようぜ」
「? …うん」
空いていたもう片方の手で朋香の手を引き、俺は家へと歩き出す。
さあ、二人の家に帰ろう。
今年も、朋香の誕生日ケーキにろうそくを立てよう。
これからもずっと、ろうそくの火と笑顔の灯る、温かい家庭を築いていけるように。
そして、そんな願いを込めた婚約指輪を、朋香にプレゼントできるように。
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