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「Vifやろ、Vifしかないやろ!」
日曜午後のジュエリーショップに、直樹のきっぱりとした声が響く。
良く言えば真っ直ぐ、悪く言えば強情なその声と言い方に、私は心の中で小さくため息をついた。
「…やっぱりなぁ」
婚約指輪はプロポーズの時にもらえるのだと思っていたら、意外にも彼は「俺が選ぶもんは好みに合わんのわかってるから、一緒に選ぶ」と言った。
でも、一度決めたらとにかく曲げない人だ。
きっと自分好みのものがあったら、そればっかり推してくるんだろうなぁ…なんて思っていたら案の定。
彼は気に入った指輪を私の好みも聞かず、これでもかとばかりに薦めてきた。
普段の姿からは想像できないけど、直樹の職業は高校教師だ。
私も同じ高校の教師で、彼は科学、私は現代文を担当している。
お互いに1年生のクラス担任をしていて、行事関連の打ち合わせやクラスの子について話をしたりしているうちに、一緒に過ごすことが多くなった。
プロポーズの言葉は「結婚しよう」というシンプルな一言だった。
どちらかというと確認に近い言い方で、そんなところも彼らしいな、と思いながら了承した。
すると、そんな言い方をした癖に自信があったわけではなかったらしく、直樹は「はー、良かったー!」と大きなため息をついた。
強気な態度で意見を言ったりからかってきたりする割に、彼には少し臆病なところがある。
だからプロポーズまでは長かったけど、本当は優しいことも、私のことや将来のことを真剣に考えてくれていることも知っていたので、特に不安には思わなかった。
ケンカすることもあるけど、これまで一緒にやってきたし、これからもきっと大丈夫。
そう思ったから、こうして、指輪を選びに来たんだけど…。
「これしかないやろ! 形もオモロイし、朝露がしたたってるし!」
直樹は店員さんに薦められたVifという指輪に一目惚れしたらしく、私の希望を無視してそれを推してくる。
確かに独特だけど綺麗なデザインで、魅力的な指輪だと思うけど…。
「ていうかなんなの、その『朝露がしたたってるし』って」
「そらお前、朝露は朝露やろ。朝の露や」
「そうじゃなくて!」
「朝露がしたたってる葉っぱをイメージしたデザインなんやって。これでええやん、綺麗だし」
「いや、まず、他のも見たいんだけど」
婚約指輪をもらえるだけで、勿論嬉しい。
でも、せっかくなら他の指輪もじっくり見てから選びたかった。
…というわけで、私は頬を膨らませる直樹を横目に、店員さんと他の指輪を見て回った。
見た中で、一つ「あ、いいな」と思う指輪が見つかった。
大人っぽいイメージがあるVifとは違い、綺麗だけど女の子!って感じの、可愛らしいデザインの指輪だった。
こんなのつけて歩いたら、私ももうちょっと女の子らしくなれるかな、なんて思いながら試着させてもらって、直樹に見せる。
でも、やっぱり直樹は不機嫌な顔のままだった。
彼なりに気を使ってくれたのか、文句は言わなかったけど…。
うーん、選びづらい。
「ねえ、何でVifにこだわるの? 何か他にも理由あるの?」
不機嫌な彼をどうにかしたくて、私は彼がVifにこだわる理由を聞いた。
しかし彼は、「だから、朝露だからやって」とか何とか、意味のわからない言葉ではぐらかしてくる。
「…どういう意味?」
「あー、だから!」
更に問い詰めると、直樹は急にキレて、言いたがらなかった理由を大声で叫んだ。
「この露は愛なんやて! 俺の愛やから、うけとっとき!」
あまりにも大声だったので、一瞬、店内がシーンと静まり返った。
そして次の瞬間、彼は耳まで真っ赤になり、顔を背けた。
「…まったく」
そんな恥ずかしい台詞、大声で言わなきゃいいのに。
私まで恥ずかしくなる。
…でも、それ以上に嬉しかった。
なんだかんだ言って、やっぱり彼が、私のことを想ってくれていたことが。
「そんなこと言われたら、もう、これにするしかないじゃん」
私はそう答えてから、そういえばまだ試着してなかったと思って、Vifの指輪を試着させてもらった。
女の子って感じじゃなくても、今はこの指輪が、一番私に似合うと思った。
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