Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
引越しはめちゃくちゃ混んでる3月にすることになったから、早めに部屋を探しはじめた。
1月、まだ年が明けたばかりの頃に、俺は百花と一緒に不動産屋に行き気になる物件を見て回った。
予算が少ないから見られる部屋は限られていたけど、築年数がけっこう経っている物件も、古いなりにきれいだった。
少し古くて狭いけどまあまあきれいなこの部屋に、俺と百花の物が増えていって、思い出が増えていって…。
そう想像するだけでわくわくする。
数日後、気に入った物件が見つかった俺たちは契約書にサインをしていた。
今はまだ違うけど、春には百花も俺と同じ名字になる。
それ自体は嬉しいことだけど、一方で、焦る気持ちや申し訳ない気持ちも感じていた。
部屋の案内をしてくれた店の人に「もうすぐ結婚するんです」と言い、今も横でサインをしている百花の指に、指輪がついていないことに。
9月にプロポーズをして、春に引っ越しと入籍をする約束をした。
その時から、ずっと百花は「指輪は高いし、いいよ」と言ってくれていた。
俺たちはまだ21で、高卒の俺はやっとアルバイトから正社員になったばかり。百花もこの春看護学校を卒業し、春から看護師になる。
だからお金がないのは互いに知っていたし、今は指輪も結婚式も諦めるしかないと思っていた。
でも、いざ結婚が近づいてきたら、やっぱり指輪を用意した方がいいよな、と思うようになった。
就職したら、職場で結婚してるかどうか聞かれることもあるだろうし…そんな時に指輪を贈っていないというのは情けない。
それに、何より俺が欲しい。百花と結婚したという証が。
部屋を探す前から、指輪を探しはじめてはいた。
ただ、最初にして最大の壁が、俺の行く手を阻んだ。
「にじゅう…ごまん…」
結婚指輪が高いってことは知っていた。
でも、まさか平均25万円もするとは…。
今の収入じゃとてもじゃないけど無理だ。でも、他の物とは違って、こういうのは安物じゃだめだし…。
プラチナを使わなければ可愛いのもあるみたいだけど、職場の俺の師匠は「男は黙ってプラチナにしろ」って言ってたし…。
それに、婚約指輪がない分、ダイヤもついてる方がいい。
そんな条件で探すと、やっぱり全然見つからない。
妥協はしたくない…でも、入籍の日までには見つけたい。
指輪は部屋みたいに簡単に決まることはなく、俺はだんだん、楽しみより不安や焦りでドキドキするようになっていった。
1月ももうすぐ終わるある日、俺は偶然AFFLUXというブランドのサイトを見つけた。
婚約指輪や結婚指輪に、ひとつずつ“ゆびわ言葉”ってやつがついているらしい。
百花、占いとかも好きだから、こういうの好きだろうなー。
そう思って、何気なく結婚指輪のページを眺めた。
「…やっぱりかぁ」
最初に見た指輪は、やっぱり20万円以上する指輪だった。
永久保証もついているとかでちゃんとしたブランドっぽいから、まあ当たり前か…。
そこで諦めつつも、ゆびわ言葉やデザインが個性的で面白かったので、他の指輪も色々見た。
すると、ひとつだけ、びっくりする値段の指輪を見つけた。
「え、7万2千円?」
『printemps』という名前のその結婚指輪は、俺の条件通りのプラチナで、ダイヤが入ってて、ちゃんとしたブランドの指輪だった。
しかも、この指輪にも永久保証がついてる…。
「…え、まじで?」
電話で聞いてみると、本当にこの値段で取り扱っていると返事が返ってきた。
梅田本店限定らしいけど、梅田なら頑張れば日帰りで行ける距離だ。俺はすぐに百花に電話した。
「なあ、俺、結婚指輪買ってあげられそうなんだけど」
「え? どうしたの、突然」
戸惑う百花に、俺は指輪を見つけたことを説明した。
プラチナで、ダイヤ入りで、永久保証付き。でも何とか手が届く15万円くらいで、2人分の結婚指輪が買えそうなことを。
指輪が載っているページのURLも送った。
百花はそのページを見て少し黙り、それから少しして「で、でも15万円だって充分高いって」と言った。
「いや、これくらいなら頑張ればいけるから」
「またそういうこと言って…!」
「百花」
真剣なトーンでそう言うと、百花は「…なに」と小さく返事をした。
「俺があげたいんだ。俺が無理言って結婚することになったんだから、これくらいしたい」
「陽斗…」
「それに、せっかく結婚するなら、指輪くらいつけたいじゃん。
…俺が買ったら、着けてくれる? 百花」
「…そりゃあ、もちろん、着けるけど」
「じゃ、決まり。今度の土曜あけといて」
次の土曜日、俺は仕事でも使ってる車に百花を乗せて、大阪を目指した。
片道5時間くらいかかるけど、そんなのなんてことない。
高校の頃から勉強できなくて、学校にも行ってなかった俺を、百花は学校に行けるようにしてくれた。
卒業した後も今の仕事に就くまでふらふらバイト生活を続けてた俺を、百花はいつも「陽斗はやればできるヤツだから」って励ましてくれた。
ようやく正社員になったばかりの俺のプロポーズを、笑って受け入れてくれた。
百花がいたから、いつも頑張ってきたし、今も頑張れる。
百花のためなら、なんてことないんだ。
引っ越しに関わる色々な手続きを終え、ようやく一息ついた3月半ば。
東京で桜の開花宣言が出された日に、俺たちは入籍した。
「ふぅ…やっと色々終わったなー」
「部屋はまだダンボールだらけだけどね」
引っ越した部屋はやっぱり少し古くて、一箇所だけ踏むと床がギシ、と鳴る箇所があることを引っ越してから知った。
でも、それもすごく楽しくて、わくわくして、ドキドキする。
「いいじゃん一気に全部やらなくたって。一旦後回しにして休憩しようぜ」
「またそうやってサボって…!」
俺がベッドにバタッと倒れ込むと、百花は少しだけ文句を言った後、「しょうがないなぁ」と一緒にベッドに倒れ込んだ。
指輪を着けた両手を絡ませながら、笑い合う。
近くで見つめ合うと、心臓の音はさっきよりもっと速くなった。
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