Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
「わ、なにこのリング、面白い…!」
その日、私はあるブライダルリングショップで、他では見たことのない個性的な指輪を見つけた。
結婚式まであと半年。私と夫・祥弥(しょうや)は、準備が忙しくなる前にと早めに結婚指輪を探しに来ていた。
前から気になっていた有名ブランドのショップから見て回って、そのお店は4軒目だった。
でも、そこで見つけた指輪『Brick』は、これまでに見たどの指輪より心惹かれる指輪だった。
歯車のように長方形のパーツが交互に組み合わさっているその指輪は、とにかくシャープでかっこいい。
レンガをモチーフにして作られたそうで、言われてみると確かに、レンガを交互に積み上げたようなデザインになっていた。
「え、めちゃくちゃいい。これにしよう。これがいい!」
祥弥も一目見た瞬間から気に入ったようで、興奮しながらそう言った。
ふたりとも気に入ってるし、これに決めちゃおうかな…そう思いながら、私は『Brick』を試着させてもらい、鏡で確認した。
「…あ…」
でも、鏡を見た瞬間、「これはダメかな」と思ってしまった。
すごく良い指輪なんだけど…普段着けて生活するには、あまりに個性的すぎる気がして。
「やっぱり、やめよう」
そう祥弥に言うと、祥弥は驚いて「え、なんで?」と聞いてきた。
「うーん…ちょっと、個性的すぎるなって。
職場では着けづらいし、ファッションリングみたいに思われたくないし」
「でも、着けちゃダメってことはないんでしょ?」
「そうだけど…やっぱり、シンプルなもの以外は、ちょっと着けづらいよ」
「うーん…。
いや、まあ、日菜子(ひなこ)が嫌ならしょうがないけど」
祥弥はうーん、と唸りつつも、私の意見を尊重してくれた。
彼はたとえ自分が納得できなくても、いつも私の希望を優先してくれる。
一番指輪を気に入ってたのは祥弥だったし、申し訳ないけど、ありがたい。
「ごめんね。もうちょっと、納得できる指輪を探してみよう。
これから、もっといいのが見つかるかもしれないし」
私は祥弥にそう言って、店員さんに他の指輪が見たいと話す。
本当は、私もあの指輪が一番気になっている。
でもやっぱりダメだ。
一生身に着けるなら、誰が見てもわかりやすいシンプルな指輪の方がいい。
きっとその方が、長い目で見て、安心できるから。
それから1ヶ月。
式の準備や仕事の合間に、いろんなお店に行って、いろんな指輪を見た。
個性的なものはやっぱり遠慮しちゃうし、シンプルなものは安心する。
でも、どうしても最終的に「これ!」と思うものを決めきれずにいた。
理由は、自分でもわかってる。
一番心惹かれたリング、『Brick』への思いが捨てきれないからだ。
2つ買うわけにもいかないし、ずっと身に着けるならシンプルな方がいいに決まってる。
だから、シンプルなリングの中で一番良いと思ったものを選んだ。
「これにしよう」と祥弥に伝え、了承も得た。
でも…その先の一歩が、どうしても引っかかる。
「まだ時間はあるし、もう少し考えてみてもいいんじゃない?
一生に一度のものだし、せっかくだから後悔しないようにいっぱい悩んだ方がいいよ」
「…うん。ありがとう」
祥弥の言葉に助けられ、私は選択を一旦保留にし、他の準備を進めていった。
更に1ヶ月が経ち、いよいよ決めないと後が大変になるタイミングまで来てしまった。
私は改めて、『Brick』とシンプルなリングの魅力をそれぞれ考える。
『Brick』の魅力は、何と言ってもデザインだ。
誰とも被らないデザインはかっこいいし、魅力的だし、着けていると毎日頑張れそうな気がする。
でも、職場には着けて行きづらいし、結婚指輪だと思われない可能性がある。
対して、シンプルなリングは、安心する。
誰が見ても結婚指輪だとわかるし。
それに、あとは…。
……。
…あれ?
シンプルなリングに、私、全然魅力を感じてない。
ただ、皆にも認めてもらえるし、勘違いされないから安心するってだけで…。
…安心って、そんなに大事だったっけ?
よくわからなくなって、祥弥に聞いてみた。
すると、こんな答えが返ってきた。
「実は俺、あんまりよくわかんないんだよね。皆に認められると安心、みたいなやつ。
俺は自分自身が認めたもので、日菜子も認めてくれるものだったら、それでいいからさ」
彼の答えを聞いて気がついた。
大事なのは、自分と相手が、それを好きかどうかだって。
安心は確かに大事だけど…他人からの評価で選ぶよりも、自分たちが好きなものを選ぶ方が、本当はずっと安心するんじゃないかって。
「…やっぱり、『Brick』にしようかな」
私がそう言うと、祥弥は笑って「うん。いいと思う」と言った。
「大丈夫。これだけ時間をかけて悩んで選んだんだから、きっと後悔しないと思う」
4ヶ月後。
結婚式で初めてお披露目をした『Brick』を見た友人や家族は、皆口々に「珍しい指輪だね」と言った。
でも、それからすぐに、「いいんじゃない? 個性的で」と言ってくれた。
「ね、大丈夫だったでしょ」
「うん。…ありがとう。見守っててくれて」
私は感謝の気持ちを込めて、祥弥に抱きつく。
指輪も、式も…いっぱい悩んだおかげで、これまで以上に彼への想いが深く積み重なったような気がする。
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