Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
せっかくだから、結婚指輪も婚約指輪と同じものがいい。
プロポーズを受け入れてくれた美咲がそう言ったので、俺は彼女を連れて再びAFFLUXのお店に足を運んだ。
プロポーズのときに贈った”Hananomegami”の結婚指輪の方を案内してもらい、試着する。
つけ心地も良く、彼女も「これがいい」と言うので、指輪自体はあっさり決まった。
しかし、問題はここからだった。
「何かセミオーダーされたいところはありますか?」
「あー、えーっと」
店員さんにそう聞かれたので、俺は少し考える。
そういえば、婚約指輪を選んだ時にも聞かれたっけ。
あの時はそのままのデザインで良いと思ってたけど…この結婚指輪は、よく考えると俺たちにはちょっとシンプルすぎる気もする。
せっかくだから、もっとダイヤとかつけて華やかにしたいな。
そう思い、俺は店員さんに聞いてみる。
「じゃあ、あの、この辺りにダイヤを留めてもらうことって」
「いらないって。シンプルでいい」
「え」
しかし、質問を言い切る前に、美咲の言葉に遮られてしまった。
「なんで? ダイヤつけた方が綺麗なのに」
「私はやだ。亮輔だけがつけるなら、別にどっちでもいいけど」
「えー、俺だけとかやだ。お揃いにしようよ」
「しない」
それから何度か言い方を変えて説得してみたけど、彼女は全く動じない。
出会ったときからずっとこうだった。俺を自由にはさせてくれるけど、彼女自身はいつも頑固で…。
まあ、だからこうして好きになって、結婚することになったんだけど。
同じ会社で事務として働いていた美咲のことが気になりはじめたのは、入社してすぐの頃だった。
『どうせ働くなら、楽しい方がいい。』
入社して以降、俺は自分で決めたそのモットーに従い、社内でいろんな人に声をかけまくっていた。
その結果、俺はただの企画部の平社員であるにも関わらず、気づけば色々な部署の人に雑用やら飲み会の幹事やらを頼まれるようになっていた。
雑用や飲み会では、美咲に話しかける機会もあった。
俺は誰にでも機会があればまずは話しかけ、最低一回は笑わせようと目論むタイプだ。
その時も流行りのネタを取り入れつつ彼女に話しかけた。
彼女は笑ってくれた。しかし、「面白い」と乗ってくれた割に、リアクションがあっさりしすぎていたのがずっと気になっていた。
爆笑でもドン引きでもない、普通過ぎるリアクション。
普通過ぎて…逆に気になる。
そんなおかしなきっかけから、俺は彼女に惹かれるようになっていった。
それから時は流れ、入社から半年が過ぎたある日のこと。
主催した飲み会で、たまたま音楽ゲームの話になった。
普段は絶対に口に出さないが、俺は重度の音ゲーマーだ。
だから気を使って話していたものの、酔った勢いでつい「あれBPMヤバいからな」とか「Lv10にしては詐称気味だよな」とか、一般人には意味がわからないことを言ってしまった。
俺がそれを口にしたことで、場が一瞬静かになった。その一瞬で、俺はすぐに口が滑ったことに気がついた。
「あ、えーっと、今のは」
偶然隣に美咲がいたこともあり、慌てて弁解しようとした。
しかし彼女は、「私はやらないからわかんないけど、なんか面白そうだね」と、引かないどころか俺のフォローまでしてくれた。
ますます彼女に惹かれた俺は、機会を見つけて彼女にお礼を言い、そのまま勢いで「今度一緒にゲーセン行ってみない?」と誘った。
彼女はあっさり「うん、いいよ」と言った。
俺が音ゲーをプレイする姿を彼女は興味深そうに見てくれた。
でも、何度誘っても絶対に自分ではプレイしなかった。
「どうしても、やりたくないの?」
「うん」
「何で?」
「見るのが好きだから」
「やるのも楽しいって!」
「いや、いい」
「えー!」
このやり取りを20回くらいしたけど、美咲は一向に折れなかった。
むしろ、それに関しては折れなかったのに、俺から告白したときはあっさりOKしてくれたから驚いた。
「え、いいの? ほんとに?」
「うーん、ほんとは嫌だったんだけど」
「まじか」
「亮輔は、なんか、お父さんみたいでさ」
「お父さん?」
「うん、うちのお父さん、楽しそうなことは何でもやる人で…。
思い付きで会社を立ち上げたり、失敗したりしてさ。私とお母さんは、小さい頃からずっと、そんなお父さんに振り回されてきたんだ」
「えー…」
聞いているだけでもヘビーな過去を、美咲はさらっと語る。
彼女の人の意見に流されない強さは、こういうところから来てるんだろうか。
「だから、ずっと何でも普通がいいって思ってたんだけど…。
やっぱり何か、惹かれちゃうんだよね。楽しそうなことを何でもやっている亮輔に」
「そっか。…って、俺、普通じゃないってこと?」
「え、ずっと変だったよ。用もないのに話しかけてくるし、意味わかんない冗談言うし、ゲームオタクだし」
「うっ」
急にズバズバ本音を言いまくってくる彼女に、思わずちょっと凹んでしまう。
「でもいいの。亮輔に惹かれた私の方が変なんだから」
でも、続けてそんなことを言うせいで、凹んでいたはずの心は一瞬にして元通り…いや、それ以上に満たされてしまった。
そして、それから数年が経った、今。
「かっこよくない。何で余計なのつけるのかわかんない。
亮輔、ただでさえ派手だし目立つのに」
指輪を選ぶ美咲は、以前にも増して棘のある言葉を口にする。
でもそれは、愛のある棘だということを俺は知っている。
「だからプロポーズで、バラの花をあげたんだ」
「?」
「婚約指輪はバラの花がモチーフなんだって。
で、結婚指輪はバラの葉がモチーフ。
綺麗な花とセットにする指輪なら、やっぱり、ダイヤもつけて綺麗でかっこいい指輪にしたいでしょ」
そう説得してみると、美咲は少し沈黙し、考え込んだ。
でも、やっぱり意思は変わらなかった。
「…つけなくていいよ、やっぱり」
「なんで」
「このままでいいの。
…同じ葉っぱっていうだけで、充分お揃いなんだから」
「…!」
まったく、普段は棘があるくせに、なんで時々こんなにどうしようもなく可愛いこと言うんだろう。
「…しょうがないなー」
彼女の可愛い台詞に、俺はつい、そう言って諦めてしまう。
…まあ、こういう場面で俺が折れなかったことなんて、今まで一度もないんだけどさ。
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