Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
全ての元凶は、結婚したばかりの夫・真一(しんいち)のこの一言だった。
「結婚指輪は、ダイヤ以外のやつにしよう」
夕食後、お互いリビングでくつろいでいたタイミングで急にそう言い出すので、私は顔を上げて「なんで?」と聞く。
「だって、どれも同じに見えるから」
そう言って真一はパソコンの画面を見せてくる。
『結婚指輪人気ランキング』と書かれたそのページには、馴染みのブランドの綺麗な指輪が並んでいた。
…そういえば、さっき夕食のときに「今度結婚指輪を買おうか」って話をしたっけ。
今度という言い方はしたものの、しばらく先でいいと思っていたから、まさかもう調べはじめているとは思わなかった。
「そうかなぁ…?」
改めて、私は画面に映っている指輪達を見る。
確かにダイヤが入っているのは一緒だけど、形や入っている位置はバラバラで、それぞれ違いはあるように思える。
でも、真一にはどれも同じものに見えるらしい。
「細かいところは違うけど、遠くから見ると全部同じに見えて嫌だ。
せっかく高いお金を出して買うんだから、そんじょそこらじゃ見かけないようなものにしたい」
「えぇ…?」
「まだちょっとしか調べてないけど、ちょこちょこっとダイヤが散りばめられているやつと、何も入ってない代わりに模様が入っているやつが多いから、それは却下で」
「え、逆にそれ以外の結婚指輪ってあるの」
「わからない。でもこれから探す」
「…まあ、いいのが見つかればそれでもいいけど…」
やる気になっているのは嬉しいけど、なんか、若干めんどくさいことになりそうな気もする。
まあ、気になったものはとことん調べ上げる”研究者モード”に入ってしまった真一を止めることはできないし、面白いから、止めないけど。
さっそく、指輪探しがはじまった。
「ダイヤ以外ってことは、他の宝石だよね?
サファイアとかトパーズとかエメラルドとか、そういうやつ?」
「…いや、ダメだ」
「なんで?」
「ダイヤモンド以外の宝石は、モース硬度が低い」
「モース硬度…?」
「靱性という観点から見れば、サファイアはアリだけど…」
「え、ちょっと待って、なにその専門用語」
急に知らない単語がたくさん出てきて混乱する。
…というか、短時間で一体どこまで調べたんだろう、この人は。
「モース硬度は『あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ』で、靱性は『破壊に対する抵抗の程度』…えーと、要は、ダイヤモンド以外は耐久性が低いってこと。
長く身に着けるなら当然耐久性は必要。耐久性の大切さは、美和なら言わなくても分かるでしょ」
「…あー、なるほど」
真一が耐久性にこだわるのも無理はない。
彼と私は共にエンジニアで、自動車工場で働いていて…しかもその仕事内容は、自動車の安全性や耐久性をテストすることだ。
そんな仕事をしているものだから、自然とどんなものにも耐久性にこだわる。
いわゆる職業病というやつだ。
「じゃあ、ダイヤ以外の宝石はダメかぁ。
…というか、逆に言えば、だからダイヤモンドが使われてるんだね」
「指輪の素材にはプラチナが使われることが多いけど、これも理由はプラチナが一番耐久性が高いかららしい」
なるほど、調べてみると結婚指輪もなかなか奥が深い…。
…って、感心してる場合じゃない。
ダイヤもダメ、何もないのもダメ、他の宝石もダメって…ダメじゃないものが果たして存在するのだろうか。
もしかして、これ、若干どころじゃなく、すごくめんどくさい案件なんじゃない?
その予想は、残念ながら的中した。
理想の指輪が見つからないまま早数週間。
真一の研究は終わりを見せず、時間があれば指輪を調べている…が、なかなか好みの指輪は見つからないらしい。
私も一応調べていて、何か思いついたことがあれば彼にメッセージを送っている。
例えば、「四角い指輪とか、形で個性を出すっていうのは?」とか、「ジルコニウムリングはどう?強度もあるし、カラフルで個性的だし」とか、そういう内容のものを。
でも、真一が気に入るものは見つからない。
形については「形自体は結婚指輪っぽいやつがいい」、ジルコニウムリングについては「ファッションリングみたいに見えるから嫌だ」と却下されてしまった。
納得できる指輪なんて一生見つからないんじゃないか、と半ば諦めたくなったけど、真一が諦める気がないので私も探し続けることにする。
意外とこういう難題に取り組むのは嫌いじゃないのだ。
私も一応、エンジニアという仕事をしているので。
私達の戦いは、ある日ついに終止符が打たれた。
その日真一から届いたメッセージは、何も知らない人から見たら本当に意味不明なものだった。
「俺達は、宝石に拘りすぎていたのでは」
「え、どういうこと?」
思わずそう返信すると、彼がある指輪のURLを送ってきた。
開くとそこには、『curious』という名前の、白と黒の四角形のワンポイントがおしゃれな指輪が載っていた。
「樹脂が入ったリングだって。これなら耐久性も問題ないし、個性的だけど目立ちすぎない」
「おお…!」
ようやく見えた一筋の光に、私は思わずリアルでそう声を漏らす。
「ダイヤもちょっと入ってるけど、これくらいなら逆にいいかも」
「え、最初の縛りはなんだったの」
「いや、要は、その辺にあるのと被るのが嫌だったんだよ」
樹脂が鍵だったんだ、と彼は興奮気味にメッセージを送ってくる。とにかくこの指輪が気に入ったらしい。
私としても、こんな素敵な指輪なら大歓迎だ。
さっそくお店に行って目的の指輪『curious』を試着させてもらう。
「おお、いい感じ。でも幅細い方がいいかも」
「うん、じゃあこっちの『Little curious』。これにしよう」
『curious』よりも幅の細い『Little curious』を試着させてもらうと、すごくしっくりきた。
私達は喜んでその場で購入を決断した。
「いや、この指輪と出会えて良かったです。
耐久性が高くて個性的な指輪を探してたんですけど、なかなか両方満たすものがなくて…」
購入まで案内してくれた店員さんにこれまでのいきさつを話すと、「もしかしたら、私達より指輪に詳しいかもしれませんね」と言われてしまった。
好きなもの、気に入ったものは調べ上げずにはいられない。
こんな好奇心旺盛な私達に、『Little curious』はぴったりの指輪だと思った。
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