Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
「…す、すごい…」
輝くような白と、高級感のある赤のコントラストが印象的なお店に足を踏み入れた私は、そのあまりの眩しさに、思わず少し固まってしまう。
私みたいな一般庶民が訪れるには、何だか場違いなような気がする…。
できるだけちゃんとした格好はしてきたけど、だ、大丈夫かな。
「……」
私が動けずにいると、隣にいる浩太郎(こうたろう)がそっと私の手を握ってくれた。
大丈夫だから。
何も言わなかったけれど、彼の目はそう言って、私を優しく支えてくれた。
「…ありがとう」
私は浩太郎の優しさに言葉で応え、ブライダルリングが並ぶショーケースへ歩を進める。
手前から順番に指輪を見ていると、店員さんがやって来て「何かお探しのものはございますか?」と話しかけてくれた。
私はその店員さんに、希望する条件に合った指輪を探していることを伝えようとする。
えっと、シンプルで綺麗な指輪を探していて…。できれば低予算で…。
「…えっと…」
でも、慣れない場所と初めて会う人にすっかり緊張してしまった私は、なかなか思うように言葉を発せない。
すると、私の代わりに浩太郎が店員さんに希望を伝えてくれた。
「すみません、結婚指輪を見たいんですが、どちらになりますか?
シンプルなデザインで、できればあまり高くないものだと嬉しいんですが」
「かしこまりました。それでは、お求めやすい価格帯のものをご案内いたしますね」
私は申し訳ないと思いつつも、このまま彼に任せることにした。
「結婚指輪でお求めやすいものだと、この辺りになりますね」
店員さんがそう言って案内してくれた指輪は、全部で5種類。
それぞれ、『Prairie』『Healing』『MALIBU』『sourire』『printemps』という名前で、花言葉ならぬ『ゆびわ言葉』がついていた。
名前とゆびわ言葉、デザインについて店員さんはひとつひとつ丁寧に説明してくれる。
こんなにたくさん種類があるのに、全部にコンセプトがあって、意味が込められているなんてすごいな、素敵だなあ…。
「続いて、こちらが『sourire』という指輪です。目が合ったときに出来る微笑みをイメージした指輪で、着けていただいたときに、微笑んでいるように見えるラインが入っているのが特徴です」
実際に試着させてもらうと、店員さんの言うとおり優しい微笑みのようなラインが入っていた。
言われなければ気づかないかもしれない、このさりげないデザインがいいなあ、可愛いなあ、と思う。
値段も手頃だし、それに…。
いつもさりげない優しさをくれる浩太郎に、何となく似ている。
小さい頃、私は吃音症で言葉が上手く話せなかった。
そのせいで人と話すのが苦手になってしまった私は、大人になって症状が落ち着いた今も、知らない人の前だと緊張で上手く話せない。
あまり人と話さない仕事を選んだから、何もなければ普段の生活はそこまで困らない。
でも、ふとしたときに困ることがある。
たとえば、バスで席に座っているときに目の前に人が立っていて、降りられないときとか。
「……っ」
道を空けてもらおうにも、空けてもらうための声が出ない。
そんな状況になり、どうしよう…と困っていたときに助けてくれたのが、今隣にいる私の夫、浩太郎だった。
「すみません。
彼女、降りるみたいなので少し道を空けてもらってもいいですか」
落ち着いた声と表情だった。
彼の言葉で私に気がついた目の前の人は、「あ、すみません」と慌てて道を空けてくれる。
私は頭を下げながらそそくさと立ち上がり、バスを降りようとして…。
…そうだ、最後に、助けてくれた彼にもお礼を伝えなきゃ。
そう思い振り返ると、無表情だった彼が、僅かに口角を上げた。
…笑ってくれた、のかな?
ほとんどわからなかったけど、でも、確かに微笑んでくれた。
そう思ったとき、ああ、素敵な人だな、と思った。
当たり前に手を差し伸べてくれて、そして、たぶん私に気を遣わせないように、少しだけ笑ってくれた。
その少し不器用な優しさにきゅんとした。ほとんど一目惚れだった。
少しだけ口角を上げたようなこの指輪のラインは、浩太郎の笑顔に似ている。
だから、選ぶならこの指輪がいいな…。
「いいですね、『微笑み』。凄く素敵だ」
「え?」
そう思った瞬間、浩太郎に気持ちを代弁されてびっくりした。
思わず彼を見上げると、彼は私の方を向き、言う。
「これ、いいなと思って。予算的にも問題ないし、シンプルで綺麗だし」
そっか。代弁じゃなくて、浩太郎もこの指輪がいいって思ったんだ。
…まるで、気持ちが通じているみたいに。
なんだか嬉しくなって、私は「私も素敵だと思う」と答える。
彼の前では、言葉はとてもスムーズに出てくる。
「じゃあ、これにしようか」
表情をほとんど変えない彼の口角が、僅かに上がる。
その瞬間、私は指輪よりも、彼の『微笑み』の方に心を奪われてしまった。
あなたのお近くにある
アフラックスの店舗をぜひお探しください。