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明日の準備を一通り済ませた私は、久しぶりに実家で一晩を過ごすことにした。
ご飯とお風呂を済ませ、両親と軽く会話をした後、私はかつて私の部屋だった場所に向かう。
今は来客用の部屋となっているその部屋に戻ると、いつの間にか、以前私が使っていた布団が床に敷かれていた。
おそらく母が敷いてくれたのだろう…心の中で母に感謝しながら、私は布団に入り目を閉じる。
でも、不安からか緊張からか、なかなか眠れない。
「…久しぶりに、何か書こうかな」
こんな時は、昔みたいに、詩を書いて自分を落ち着かせよう。
そう思った私は、お気に入りのノートの新しいページを開き、思いつくままに詩を書きはじめた。
『眠りに落ちた太陽が
また起きるまでの静かな時間
そっと耳元を訪れた風が、私にささやく。
“あのときは、きゅうくつでいきがつまるかとおもったよ”』
モデルになっているのは、2年前のカフェでの出来事だ。
2年前、職場の先輩からの紹介で、私は歩(あゆむ)という一人の男性に出会った。
「気が合うと思うから、まずは会ってみて」と先輩に強く勧められたので、言われるがまま、私は待ち合わせ場所のカフェに向かった。
会ってはみたものの、仕事以外で男の人と二人きりで会話することなんてなかったから、何を話せばいいかわからなかった。
それは彼の方も同じだったようで、お互いにどう接していいのかわからないまま、しばらくの間、無言で窮屈な時間を過ごした。
『愚痴をこぼしながら
風は、記憶をつれてくる。
“ほんや”に”ぶんがくかん”に”きねんかん”。
私たちがこれまでに訪れてきた場所を。』
でも、過ぎ去ってしまえば、窮屈な時間は一瞬だった。
趣味を聞いた時、歩は日本の文学作品や詩集を読むのが好きだと答えた。
詩集を読むのが趣味だという人に初めて出会った私は、興奮して、好きな詩人は?作品は?とあれこれ聞いた。
聞けば聞くほど、私と彼の好みは一致して…それから私たちは、すぐに打ち解けた。
一緒に本を買いに行ったり、文学館に行ったり、好きな作家の記念館に行ったり…。
同じ趣味を持つ友達ができたことが嬉しくて、私は彼といろんな場所に出かけるようになった。
『たくさんの記憶を引き連れた風は
やがて勢いを増していく。
“びゅうびゅう、びゅうびゅう”
いつの間に、こんなに大きな存在になったんだろう。』
好きなものが同じでも、私と歩の視点は全然違った。
知っている作品でも、彼の感想を聞いてからもう一度読むと、全然違う作品のように思えた。
新たな視点が広がって、知らない作品も読むようになって。
そうやって世界が広がっていくことが、とても楽しくて。
そうしていつの間にか、歩の存在が、私の中でどんどん大きくなっていった。
『大きくなった風は
やがて一つの指輪になった。
“きらきら、きらきら”
いつでも私たちの側にいられるように。』
突然、歩にプロポーズをされたのは、ちょうどそんな頃だった。
いつものようにブックカフェに入って読む本を選んでいたら、本の中から「結婚して下さい」と書かれた栞が落ちてきて。
びっくりして顔を上げると、薔薇の花を持った彼が、私をじっと見つめていて…。
突然のことに驚いたけど、既に彼と一緒にいることが当たり前になっていた私は、すぐにOKの返事をした。
プロポーズを受けた私は、その後彼と一緒にジュエリーショップに行き、エンゲージリングを買ってもらった。
「……」
今、私の薬指に光っているのは、”Windy”という風の詩をイメージして作られたというリングだ。
デザインに込められた意味をお店の人に聞いたとき、このリングしかないと思った。
綺麗なウェーブの形をしたリングには、大小2つのダイヤモンドがついている。
こうして大きさの違うダイヤモンドが2つついているのには、実は意味があって…。
「風香(ふうか)、まだ起きてるの?」
部屋で昔のことを思い出しながら詩を書いていると、いつの間にか部屋にいた母に声をかけられた。
「あ、うん。なんだか眠れなくて」
「気持ちはわかるけど、しっかり寝なさいよ?
花嫁の一日は長いんだから」
「…うん」
私はそう返事をし、部屋を出る母を見送ると、改めてノートを見返し感慨に浸る。
この、たくさんの思い出を抱えて…明日私は、結婚式を挙げるんだ。
「…幸せだなあ」
私はそう呟いて、『風の詩』とタイトルを付けた詩に、最後の段落を書き足す。
『太陽が顔を出すと、風の声は聞こえなくなる。
それでも、薬指に光る指輪を見るだけで、
私はいつでも、これまで歩んできた道と、幸せな記憶を思い出せる。』
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