Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
「礼子、手、掴んで!」
「ありがとう!」
少し急な斜面の上から、彼氏の高山(こうざん)が私に手を貸してくれる。
初めての登山。私達は、京都から比叡山の山頂へ向かう、初心者向けの登山ルートを登っていた。
大変な場所が幾つかあったけど、その度に前を進む彼が助けてくれるので、何とか私でも登り切ることができた。
山頂から山々を見渡してみると、どこまでも広く雄大な景色が広がっていて、私達ここを登ってきたんだ、と少し感動した。
山頂で私は手を合わせて、「お父さん、私もここまで登ってこれたよ」と10年前に亡くなった父に報告した。登山が大好きな人で、小さい頃、今見ているのと同じ景色を写真で見せてもらった。
礼子もいつか一緒に登ろうな、と言ってくれたのに、約束果たせなくてごめんね…。
祈っているうちに色々思い出してしまって、少しだけ、黙って隣にいてくれていた彼の胸の中で泣いた。
その帰り道。
前を歩いていた高山の姿が、突然視界から消えた。
「うわっ!」
足を滑らせて転ぶ高山。大丈夫、と声をかけると、彼の足首が少し赤く腫れているのが見えた。
「痛って…捻挫したみたい。でも、あとちょっとだし、大丈夫だから」
「待って」
立ち上がろうとする高山を止めて、私はリュックの中からテーピング用のテープを取り出す。
登山に必要な道具や服装から、ケガをしたときの対処法まで。
全部教えてくれたのは高山だった。
だから私も、彼のためにできることをしたい。
教えてくれたことを思い出しながら何とかテーピングをすると、彼は「上手だ、ありがとう」と言って笑ってくれた。
その後は、特にトラブルもなく無事下山。
でも、彼のケガが心配で、翌日私は彼の家に向かった。
その道中、スマホにメッセージが送られてくる。
『昨日はありがとう。行きは助けて、帰りは助けられて…いつも一人で登ってたけど、二人で山を登ると本当に楽しいし、心強いって思った。』
『今の気持ちは、こんな感じ。』
メッセージと共にURLが送られてきたので開いてみると、そこには、山をモチーフにした婚約指輪が載っていた。
“お互いを思いやり、手をとりあって頂を目指していけますように”
ページに書かれているゆびわ言葉を見たとき、ちょうど彼の家に着いた。
彼は入口で立って待っていてくれた。
「礼子。これからもずっと、二人で山を登りたい」
そう言いながら私に手を差し出す彼。その手を取ると、彼は思いきり私を抱き寄せた。
…お父さん。お父さんの代わりに、一緒に山登りをする人ができたよ。
私は心の中で父に報告をしながら、彼の胸の中で、少しだけ嬉し泣きをした。
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