Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
平日夜の、小さなバーのステージ。
お客さんは少ないけど、それでも舞台上に立つ治生は生き生きとしていた。
タキシードにシルクハット姿の彼は、お辞儀をするやいなや、何もないはずのシルクハットの中から大きなカードを一枚取り出してみせた。そしてそのカードはあっという間に二枚に増え、模様が入れ替わり、宙に浮く…。
マジックはいつ見ても不思議だ。彼のマジックは、彼が夜の公園で練習していた頃から何十回も見てきたけど、未だに種や仕掛けがわからない
知りたいけど、聞いても彼は絶対に教えてくれない。もやもやするけど、そのもやもやも、実は少しだけ楽しかったりして…。
「理緒」
不意に、治生が壇上から私の名前を呼んだ。
手を引かれステージに上がると、彼は一枚のハンカチを取り出し、私にウインクしてみせた。
何がはじまるんだろう、と思っていると、くしゃくしゃにしたハンカチから小さなバラの花が飛び出してきた。見たことのないマジックに私は驚く。
「わぁ…!」
治生がハンカチを振ると、小さなバラが更に二つ落ちてきた。その後は振っても出てこなくなり、治生は困ったように首を傾げる。
もしかして、失敗したのかな…?私が不安に思っていると、治生は何かを思いついたように人差し指を立て、ハンカチをくるっと一回転させた。
ハンカチに収まりきらないはずの大きなバラの花束が、突然目の前に現れた。
「え!?」
「びっくりした?」
さっきとはうってかわって、意地悪に微笑む彼。
そこでわざとあんな表情をしたんだと気づく。ああ、また騙された。
「もっとびっくりするかもしれないけど、この花束を理緒にあげたいんだ。僕の一番のギャラリーに、僕の愛を捧げたい」
治生がくれる花束を、私は恐る恐る受け取った。
中に一枚のカードが刺さっていて、ジュエリーショップの名前と住所が書かれていた。これってもしかして、プロポーズ?
カードを手に取り治生を見上げると、今度はとても無邪気に笑った彼が、私のおでこにキスをした。
この気持ちを表すなら、きっとこれしかない。
後日、ジュエリーショップで私は「ときめき」という意味を持つ指輪を選んだ。少し不思議な形をした指輪を彼は真剣に見つめ、「理緒によく似合う」と言って薬指につけてくれた。
その気持ちには、種も仕掛けもどこにもなかった。
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