Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
突然走り出した愛犬を追いかけていった先にいたのは、二人の女の子だった。
うちの小型犬にいつの間にやらできた大型犬の彼女と、その飼い主である小柄な女の子…彼女は犬たちを驚いたように見つめ、それから優しくふわりと笑った。
それが後に、俺が結婚する人との出会いだった。
高校卒業後、大学に進学することになった俺は、この機会に一人暮らしをはじめる予定だった。
しかし、ちょうど引っ越し先を決めるタイミングで、実家で生まれた子犬をもらってほしいと友人に頼まれたせいで、新生活は一人暮らしではなく、一人と一匹暮らしになってしまった。
でもまあ、後悔はしていない。子犬は可愛かったし、いきなり一人暮らしっていうのも、少し寂しいものがあったし。
実家でも長い間犬を飼っていたから、犬の世話は慣れていた。
だから特に問題ないと思っていたけど…やっぱり犬種が違えば勝手が違う。
飼い始めて一ヶ月ほど経ったある日の散歩中、それまでは落ち着いていたうちの犬、ハルはその辺の草花を口にくわえると、急に暴れ出した。
勢いでリードが外れ、ハルはどこかに向かって一目散に走り出す。
「おい、ハル! 待て!」
ハルにも他の人にも、何かあったら大変だ。
俺は名前を呼びながら、慌ててハルを追いかけた。
近所のペット可マンションに着いたところで、ハルは急に走るのをやめた。
入口にいた大きなセントバーナードの前でくわえていた草花を離したハルは、そのままセントバーナードに向かって突進する。
大きな犬に突進する、小さなハル。
力で敵うはずもないし、一体何をしているんだろうと思ったけど…何度も何度も突進しては頭をこすりつける姿を見るに、どうやらハルはこのセントバーナードのことが好きらしい。
そう考えると納得できる。わざわざ花をくわえて持っていったのも、たぶんプレゼントのつもりだったんだろう…。
「…って、そんなこと考えてる場合じゃない。
おいハル、離れろ!」
ふと我に返り、俺は慌ててセントバーナードからハルを引きはがす。
そして、セントバーナードの近くに立っていた飼い主らしき女の子に慌てて謝る。
「ごめんなさい、うちの犬が…」
驚いたように犬たちを見つめていたその子は、俺の方を見てふわりと笑い、首を横に振った。
「いえいえ。気にしないでください」
「うちの犬もまんざらでもなさそうだし、むしろ遊ばせてくれた方が嬉しいかも」
彼女がそう言うので、少しの間犬たちを遊ばせながら、彼女と話をした。
すずという名前の彼女は、細くて背が低くて、可愛らしい女の子だった。
可愛らしいという表現がぴったりくるような子だったし、俺ともだいぶ身長差があったから、最初は年下だと思っていた。
でも、話してみると実は同い年で、トリマーを目指して専門学校に通っているということがわかった。
いざちゃんと会話をすると、確かに穏やかで落ち着いていて、同い年か、少し年上にも思えるくらいだった。
でも犬の話で無邪気に笑うすずは、どこか幼くもあって…そのギャップがすごく可愛かった。
だから、実はこの時点でもう、俺は彼女のことが好きだった。
俺たちはすぐに仲良くなった。
お互いに学校の話をしたり、友達や家族の話をしたりした。
彼女の実習が近いときは、練習としてハルの毛をカットしてもらったし、俺のレポートの締切り日の前日は、彼女に見張ってもらいながらレポートを書いた。
そうして、俺たちは友達になり、やがて、恋人になった。
後から知ったことだけど、俺たちが出会った5月1日は、実はすずの誕生日だった。
だから、プロポーズをするなら、5月1日にしようと決めていた。
出会った日のちょうど5年後の5月1日。俺は意を決して、すずにプロポーズをした。
彼女はわずかに息をのみ、それから「はい」と答えてくれて…俺は嬉しくて嬉しくて、その後すぐ、彼女と指輪を見に行った。
5月1日は「すずらんの日」で、フランスでは大切な人にすずらんの花を贈る風習があるらしい。
ジュエリーショップで『suzuran』という指輪と共にそのことを知った俺たちは、デザインと『幸福のおとずれ』というゆびわ言葉、それから、今日であり俺たちの記念日でもある『5月1日』に縁があるという理由で、この指輪を買うことに決めた。
せっかくプレゼントするなら、すずらんの花と一緒がいい。
そう思った俺は、出来上がった指輪を受け取った後、花屋ですずらんの花のブーケを買った。
「たくさんの幸せをありがとう。これからもよろしく」
彼女の家まで走って行き、そう言って花束を渡した。
出会ったとき、ハルが彼女の犬に花を持っていったように。
「…ありがとう」
すずはその時と同じように、少し驚いた表情をした後、俺を見つめてふわりと笑った。
それから、ブーケの中からすずらんの花を1本だけ引き抜き、「こちらこそ、よろしく」と言って、俺にプレゼントしてくれた。
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