Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
大切なものを彩るリボンは、昔から大切な贈り物の包装に使われてきた。
でも、リボンはそのままでも可愛らしく、リボン自体もまた贈り物のようだ。
だから俺は、千花(ちか)にリボンをプレゼントした。
可憐な彼女にぴったりの、リボンをモチーフにした婚約指輪を。
「かわいい……」
家に帰り『Loire』の指輪が入った箱の蓋を開けた千花は、指輪をぼんやり見つめながら、もう10回目になる「かわいい」という台詞を口にした。
1回目は、インターネットで初めてこの指輪を見たとき。その後、彼女は店で見たときに2回、試着して3回、オーダー後受け取りに行って1回、帰り道に2回同じ言葉を繰り返した。
予想以上にプレゼントを気に入ってくれたようで、とても嬉しい。
嬉しいけど…彼女が試着時以外に決して指輪をつけてくれないことが、俺は気になっていた。
「千花、指輪、つけてくれる?」
「あ…」
俺は何度かお願いして、今みたいに千花の薬指に指輪を通す。
しかしその度に、彼女は困ったような顔をして、指輪を外してしまう。
「やっぱり、私がこんなのもらっちゃ悪いよ」
こんなに高くて可愛い素敵な贈り物、自分には似合わない。
彼女はそう言って、こんなに気に入ってるにも関わらず受け取ってくれない。
「困ったな。俺があげたくてあげたのに」
頑なな彼女に、今度は俺の方が困ってしまう。
「千花、俺は、千花が頑張ったからこの指輪をプレゼントしたんだ。
だって、人前で声を出せなかった千花が、面接に行って合格して就職したんだよ?
すごく嬉しいんだ。千花より俺の方が嬉しいくらい」
「…頑張ってないよ。普通はみんな人前で喋れるし、普通にみんな就職してる」
「千花にとっては普通じゃなかったでしょ。だから頑張ったんだ」
悲観的な千花を励ましながら、俺は彼女のことを考える。
千花は小さい頃、無理やりピアノのコンクールに連れて行かれたことをきっかけに、人前に立つことができなくなった。
それどころか、他人を前にすると緊張で声が出せなくなってしまった。
だから大学で俺と出会うまで、ずっと一人で過ごしてきた…そんな彼女が、頑張って練習して、トラウマを乗り越えて面接に行き、就職できた。
俺にはこれ以上に嬉しいことはない。
「…私が人前で話せるようになったのだって、私の力じゃない」
しかし、あくまで彼女は自分の力を認めようとしない。
彼女が自分自身を認められるようになるには、まだ時間がかかるのだろうか…そう思い返事に迷っていると、千花は俺がずっと知らなかったことをひとつ教えてくれた。
「拓実(たくみ)のおかげなの。
拓実と話したくて、人前で話せるようにいっぱい練習したから」
「…俺のおかげ?」
「うん。だから、プレゼントをあげたいのは私の方。
拓実は私のために、いっぱい尽くしてくれるから」
「……」
千花が頑張っているのは知っていた。
でも、その理由が俺だったとは思わなかった。
ずっと、俺が千花のことを想ってきたように…千花もまた、俺のことを想って頑張ってくれていたんだ。
やっぱり俺には、彼女以上に愛しいものはない。
「千花がほしいな」
「え?」
「プレゼントに、千花がほしい。…俺と結婚してくれる?」
「…うん」
千花を抱き寄せ、彼女が外した指輪をもう一度、彼女の指につけ直す。
薬指にリボンのラッピングをした彼女は、俺にとって、世界で一番大切な贈り物だった。
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