Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
「ねえ、アキラくん。そろそろ指輪も考えないとだよね」
休日のある日、リビングで結婚情報誌を広げていたときに、薫(カオル)が突然に言い出した。
「イメージは固まったの?」
「それがね……なかなか難しいんだよね」
食後のコーヒーを飲みながら、カオルは食い入るようにスマホを見つめ、あれこれと調べ物をしている。
「これがいい」と納得するようなものはまだ見つかっていないようだ。
「デザイナーだからか、やっぱり凝り性なところがあるな」
「でも、早く決めないと間に合わなくなっちゃうし……」
結婚式の日取りを決めてから、逆算してスケジュールを立てると、それほど時間に余裕はなかった。
俺とカオルは同じ会社に勤めている。
カオルは一つ歳上だけど転職組だから、俺のほうが先輩だ。
付き合ってからそろそろ二年になる。
「大事なものだから、焦らずに選ぼうよ」
「うん……」
そう言っているけれど、焦りが伝わってくる。
なんでだろう?
結婚の準備って、もっとしあわせで楽しいものだと思っていたのに。
もっとゆっくり考えられると思っていたのに、勢いに流されているような気がする。
黙ってしまったカオルは、スマホを見つめる。
俺も、何も言えずに冷めかかったコーヒーをのぞき込む。
「あ!」
突然カオルが叫んだ。
「これ……!このデザイン!見て、お花みたいで素敵!『Statice』って名前なんだ」
花のようにダイヤを並べたデザイン。
結婚指輪にも目立つダイヤが付いている。
さっきまでの沈んだ空気が吹き飛ぶ。
「週末、このお店に行ってみようか」
カオルが「これがいい」と思ったら、たいていのことにはきちんとした理由がある。
直感に任せてみて、無駄足になることはほとんどない。
早速、ジュエリーショップに予約を入れた。
週末。
「指輪を選ぶために二人で出かけるのって初めてだね」
いつもより少しかしこまった装いのカオルはとても嬉しそうで、こちらまで笑顔になる。
お店に入ると、赤と白を基調にした空間が広がり、特別なところに来たという気持ちになる。
席に座り、「Statice」を見せてもらったカオルは、いろいろな角度から見ては小さくうなずいている。
期待していたとおりのデザインだったようだ。
「スターチスというのは花の名前で……こちらがそのお花です」
紫やピンク、白のスターチスの生けられた花瓶を前に、店員さんの説明が始まった。
「色がついている部分は、じつは花ではないのです。本当の花はこの、小さな白い部分です」
「えっ……そうなんですね!」
とても控えめな白い花を引き立てる鮮やかな色。
「スターチスの花言葉は『変わらぬ心』。花が落ちても、いつまでも色鮮やかな『がく』からイメージされたのだと思います。この指輪のゆびわ言葉も『変わらぬ心』なんですよ」
販売員の説明を聞いている最中、なぜか、ここで一瞬、カオルと目が合った。
すぐに目線を指輪に戻す。
「アキラくん、私、これがほしい」
ゆっくり、一言ずつ噛みしめるように言うカオルに、俺も大きくうなずいた。
「実は私、結婚が決まったのが友達の中でも最後のほうなんです。みんなから情報をもらえて助かる反面、同じものが選べなくて逆にプレッシャーで。だから、私だけの指輪が作れたらいいな、って思ったんです」
そうだったんだ。
誰かの指輪と似ている、とか言っていたのを思い出す。
友達とは違う、自分だけのものが欲しいから、必死に探していたんだ。
あまり自分の本心を人に話すタイプではないカオルから、こんな本音が出ることが意外だった。指輪が決まって、本当に安心したんだな。
こちらまでホッとしてしまう。
安堵している間に、具体的な話になっていた。
ここは本職のカオルに任せよう。
「指輪の素材はプラチナで。表面仕上げはピカピカしているのがいいです。ダイヤの色は、ピンクにしたいです」
「ピンクのスターチスの花言葉は『永久不変』なんです。『変わらぬ心』と『永久不変』。より強い意味合いになっていいと思います」
カオルの表情がぱあっと明るくなる。
「それ! とってもいいですね! もう絶対ピンクダイヤにします!」
私、すごい! と小さくガッツポーズをするカオル。
この表情を初めて見たのはいつだった……?
カオルを見つめ、思いを巡らせる。
ああ、あのときだ。
「どうしたの?」
あの瞬間を思い出して、思わず笑ってしまった俺を、
不思議そうにカオルが見つめる。
「初めて会ったときから、カオルは仕切り屋で、プロジェクトをどんどん形にしていったな、って。あの時のこと、思い出した」
「それは……中途入社だから、ちゃんと自分の仕事をアピールしなきゃと思って……。もしかして私、目立ってた? 恥ずかしい……」
「でも、そのおかげでカオルに出会えた。あの時があったから、今ここにいるんだ。結婚するって決めてからずっと忙しくて。考えなきゃいけないことや準備に追われて、見えなくなってた。初めてカオルに会ったときの気持ち、思い出せた」
「待って……いきなり……どうしよ……」
真っ赤になってうつむいてしまったカオル。
告白したときもこんな感じだった。
そうだ、カオルのこんなところに惹かれたんだ。
思い出せてよかった。
「カオルと結婚することにして、本当によかったと思ってるよ」
カオルの手を握ると、握り返してくれた。
今日、ここに来てよかった。
「いいものを選べてよかったです。出来上がりがとても楽しみです」
「ありがとうございました」
カオルと手をつないで歩きだす。
いつもと同じだけれど、つなぐことの意味合いが変わったような気がした。
「ゆびわ言葉は、『幸せのおまじない』なんですよ」
さっき言われた言葉を思い出す。
「永久不変」と「変わらぬ心」。
あまりそういうことを信じる柄じゃないけど、「おまじない」も、たまには悪くないな。
カオルを見つめ、そう思った。
関連情報
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