Ring Story「ゆびわ言葉®」で繋がる愛の物語をAFFLUX(アフラックス)でチェック!
緩い風が吹くある休日のこと。
俺はいつもより少しだけきっちりした格好をして、婚約したばかりのパートナー・紗由美とある店にやって来た。
風も波もいい日で、普段ならこんな日は間違いなく趣味のサーフィンをしに行っていただろう。
でも、今日はそれどころじゃない。
何故なら、彼女と俺を結ぶ、大きな買い物をするからだ。
「……はあ……綺麗……」
紗由美は店に入るなり放心状態になっている。
パートナーとこういうお店に行くのが憧れの一つだったらしいし、昨日も遅くまでネットで色々吟味していて眠れなかったらしいから、いざ目の前にしてこんな反応になるのも無理はないと思う。
そういう俺も、さすがにちょっと怯んでいる。
何せ目の前には、キラキラ輝く数十万円の指輪がずらりと並べられているのだから。
「凄いなぁ…」
ブライダルリング。
それは多くの女性の憧れであり、紗由美がずっと前から「いつかは欲しい」と願っていたものだ。
出会いから7年…プロポーズをし結婚することを誓った俺たちは、その約束と想いを形にするために、今日、婚約指輪を買いに来た。
…が、楽しみにしすぎたあまり、紗由美はブライダルリングショップに着くなり放心状態になってしまった。
俺も、こんなに種類があるとは思わなかったけど…。こんな状態で、果たしてこのたくさんの指輪の中から似合う指輪を見つけられるだろうか。
少し不安だったけど、店員さんがやって来たので、さっそく色々案内してもらうことにした。
「こちらは、蝶々をモチーフにした、『Papillon』という名前のリングで…」
「へえー…凄い、綺麗だ」
「…うん。すごい」
それから、店員さんの案内で色々な指輪を見た。
しかし、普段見慣れない上にどれもこれも綺麗なもんだから、凄いと綺麗以外の言葉が中々出てこなかった。
とりあえずわかったことは、どの指輪にもテーマがあり、作り手の思いやメッセージが込められている、ということだ。
紗由美に贈るなら、どんなメッセージが込められた指輪がいいだろう?
何かないかな…俺が伝えたい想いを、ぴったり表したような指輪が。
「あ。これは?」
そんなことを考えていると、ある指輪が目に留まった。
「そちらはご婚約指輪ではなく、ご結婚指輪なんですが、『SURF』というリングですね。
波をモチーフにした指輪で、寄せ波に例えて、お互いを『想いつづける』というゆびわ言葉がついています」
「波? じゃあ、『SURF』って、サーフィンのサーフ?」
「はい。サーフィン、されるのですか?」
「めっちゃやります! 何なら、今日もこの後行こうかと思ってるくらいで」
これだけたくさんある指輪の中で、自分が一番好きなサーフィン・波をテーマにした指輪を見つけるなんて、凄い偶然だ。
だから、本来の目的である婚約指輪じゃないけど、俺は思わず「ちょっとだけ試着してみてもいいですか?」と店員さんにお願いした。
『SURF』は女性用のものは真ん中のダイヤモンドを包み込むようなデザインになっていて、中々個性的な指輪だった。
一緒に試着した紗由美に、俺は「どう?」と聞いてみる。
「…え、いい」
紗由美の反応も上々だ。
男性用の方も、着けてみてすごくしっくりくるし、何より”俺たちらしい”って感じがする。
予定とは違うけど、これを今選んだ方がいい気がしてきた。
「よし、じゃあこっちを先に買っちゃうか」
「…へ!?」
「いいって言ったじゃん」
「いや、つけ心地がいいとは言ったけど、結婚指輪を買いにきたわけじゃないでしょ…!」
「そうだけど、どうせ後で買うんだし」
「そういうことじゃなくて…」
「ちゃんと紗由美のこと『想いつづける』から」
「…っ」
紗由美の目を真っ直ぐ見てそう言うと、紗由美は顔を赤くして言葉を詰まらせた。
普段はクールなのに、こういう話をすると女の子らしくなるところが可愛いと思う。
「…でも、まだ一軒目の一個目の指輪だし…」
「そうだけど、俺はこれがいいと思う。
個性的だし、波モチーフだし、紗由美にも似合ってるし」
「またそんなこと言って…」
確かに今初めて見た一個目の指輪だけど、これが一番だと思った。
波は…サーフィンは、俺の人生であり、紗由美を好きになるきっかけになったものだから。
初めてサーフィンをしたのは4歳の時だった。
特に珍しいことだとは思ってなかった。両親はどっちもサーファーだったし、海も波もボードも、当たり前のようにそばにあったから。
特別才能があったわけではなく、大会にも興味はなかった。
ただ、波という自然と向き合うのが楽しかった。
だから来る日も来る日も波に乗っていたし、ある程度上手にはなったけど、サーフィンはただの趣味だった。
いや、趣味というより、日課だったという方が正しいかもしれない。
その日課を途切れさせることなく大学生になったある日、俺は同級生でよく一緒に遊んでいたグループのメンバーたちとサーフィンをすることになった。
それまであまり話したことはなかったけど、グループの中には紗由美もいた。
サーフィンをする俺の姿を見た紗由美は、俺に「波を乗りこなせるのってかっこいいね」と言った。
当時、恋愛のれの字も知らなかった俺は、その言葉を俺ではなくサーフィンに対する興味だと勘違いし、「じゃあ、やってみる?」とサーフィンを勧めた。
後から聞くと、紗由美はサーフィンには全然乗り気ではなかったらしい…が、いざ始めるとだんだんハマったようで、気づけば二人でサーフィンに行くことが増えた。
一緒に波に乗るうちに、この子とずっと一緒にいられたらな、と思うようになった。
両親のように、同じ波が好きなパートナーと幸せな家庭を築きたい。
そんな風に思うようになっていった。
片思いを続けて数年後、俺が意を決して告白をした日、俺は知った。
紗由美の方が、先に俺に想いを寄せてくれていたことを。
そして、その日俺は誓った。
今度は俺の方がもっと強く、長く、紗由美を想い続けることを。
「…だから、波をモチーフにしたこの指輪が、一番俺の気持ちに合ってるかなって…」
「わかった、わかった、もういいから…!」
店内で俺が出会いから今までの想いを紗由美に語ると、彼女は顔を真っ赤にしたままそう言って制止してきた。
「…わかった。これにしよう」
そして、諦めたようにそう言った。
「嫌だ? 紗由美が嫌ならやめるけど…」
「…嫌じゃない」
「本当?」
「…本当。そこまで言われたら、もう、これにするしかないよ。
なんだか、これが一番、”私たちらしい”気がするから」
紗由美は指から外した『SURF』の指輪を見てそう言う。
「やっぱり、そうだよな?」
「うん」
「じゃあ、これにしよう」
話し合ってそう決め、決めたことを伝えるために店員さんの方を見ると、ずっと黙って見守ってくれた店員さんがにこにこ微笑んでいた。
「は、恥ずかしい…」
話を全て聞かれたことを思い出しそう呟く紗由美は、店に入った時とは別の意味で放心状態になっていた。
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