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夕方、ジュエリーショップで購入した指輪を受け取った俺たちは、そのまま神戸ポートタワーに向かった。
そこからなら、二人の思い出が詰まった神戸港をよく見ることができる…そう思ったからだった。
「色々あったよね、あそこで」
最上階から灯台とモザイク大観覧車を眺めていると、隣に並んだ美奈(みな)がぽつりとそう言った。
「そうだな」
俺も返事をしながら、色々なことを思い出す。
高松と神戸を結ぶジャンボフェリーに初めて乗ったのは、神戸の大学に進学する時だった。
到着する直前、船内に流れる曲を聞きながら、新生活にわくわくしていたことを覚えている。
それから、俺はその曲を何度も聞いた。
夏休みや正月に、香川の実家に帰るとき。そこからまた、大学に戻るとき。
美奈をデートに連れて行ったこともあった。一番気に入ってるうどん屋さんに連れて行って、うどんについて語ったりしたっけ。
「圭祐(けいすけ)の両親に挨拶するなら、またジャンボフェリーに乗らなきゃね。
またあの曲を聞いて、うどんを食べて」
美奈も同じことを思い出したのか、笑ってそう言った。
…しかし、何故かその笑顔は一瞬で消え、彼女は真剣な顔で僕を見つめた。
「…ねえ、圭祐」
「ん?」
「もう、他の船に乗って、どこかに行ったりしない?」
あの時のことを思い出したのだろう。
美奈は俺の意思を確認するように、そう尋ねる。
…でも、もう、心配は無用だ。
俺は彼女を安心させるように笑って答える。
「行かないよ」
「本当?」
「だって、どこに逃げたって美奈は追いかけてくるでしょ」
「んー、そうかも」
茶化したつもりだったのに、思い当たる節のある美奈は真面目な顔のまま返事をする。
そんな彼女に苦笑しながら、俺は改めてお礼を言う。
「ありがとう、美奈。あの時追いかけて来てくれて」
「うん。
…でも、私、電話もメールもできたのに、あの時なんで中国まで追いかけて行っちゃったのか、未だによくわかんないんだよね」
なんでだろうな、と繰り返し言いながら、心配事のなくなった美奈は俺から目を逸らし、港を眺める。
「でも、あの時美奈が来てくれたから、俺は2年間頑張れたんだ」
そんな美奈に、俺はもう一度ありがとう、と言うと、美奈もうん、ともう一度頷いた。
俺は先月まで、中国で働いていた。
美奈や他の友人たちと違って、俺は大学でも、就職先でも自分のやりたいことを見つけられなかった。
だから、ずっと一人だけ前に進めず取り残されている気がして、怖くなって、知り合いが紹介してくれた中国での仕事に飛びついた。
誰にも何も言わず、逃げるように海を渡った…そんな俺を、美奈は中国まで追いかけてきて、叱ってくれた。
『逃げないで。
海外でやっていくと決めたんだったら、ちゃんと胸を張って、やるべきことをやって帰ってきて』
美奈が叱ってくれたおかげで、俺はここでしっかり頑張っていこうと思えた。
そして無事2年間中国で働いて、俺は日本に帰ってきた。
今の俺がいるのは、美奈のおかげだ。
「美奈」
俺は大切な人の名前を呼び、一緒に選んだ指輪を改めて取り出す。
「帰国したとき、神戸港で美奈が待っていてくれたのを見て、俺、帰ってきたんだって思った。
地元でも、どこか遠い所でもなくて、美奈がいるこの場所が、俺の帰る場所なんだって思った。
…だから、これからもずっと、側にいてほしい」
「…うん」
二人で選んだ指輪…神戸港をイメージしているという『Harbor』の指輪を、俺は美奈の薬指に通す。
神戸港の夕日に照らされた指輪は、二人を照らす灯台のように、きらりと光り輝いた。
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